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講義No.10803

食欲をコントロールするためには? GABAと食欲の関係を探る

食欲はどこから生まれる?

 食欲は脳と腸が影響しあって生まれています。食事をして満腹になると胃は空腹ホルモンの放出を停止し、腸からはペプチドが出ます。すると脂肪組織からレプチンホルモンが放出され、これが脳に到達することで食欲が収まります。
 このように脳が食欲をストップさせるまでのメカニズムは解明されていますが、例えば医療目的で、満腹にならなくても食欲を抑えるためには、食欲を意図的に制御する仕組みを研究する必要があります。

食欲を制御する栄養素

 体内で分泌されるホルモンやペプチド以外にも、栄養素が食欲を制御している可能性があります。そのひとつが抑制性神経伝達物質「GABA(ギャバ)」です。マウスにGABAを高濃度で混合した餌を与える実験では、食べる餌の量が普段より減ることが明らかになりました。外部から与えられたGABAが脳に作用して、食欲を抑制していると考えられます。
 しかしGABAはもともと脳内にも存在しているため、外部から入ってくるものをすべて取り入れてしまうと、脳内のGABAの量が過剰になってしまいます。脳は血液脳関門というドアを設けており、食べ物から摂取された栄養素を選別しています。このときGABAはシャットアウトされていると研究者の間では信じられてきました。したがって、GABA は脳に直接届いて食欲を制御するのか体のほかの部分に影響するのかまだ分かっていません。

肥満治療のための食欲抑制薬の開発

 現在、GABA摂取がどのように食欲をコントロールするのか、研究が進んでいます。GABAの食欲抑制のメカニズムを解明できれば、過食にならないように、生活習慣病予防や肥満治療の開発につながるでしょう。また、肥満だげではなく、てんかんの薬にも応用することが可能です。てんかんの患者は脳内のGABA保有量が低下しているので、GABAを分解する酵素を止めるための薬を摂取します。外部から取り入れたGABAが脳に到達するメカニズムを証明できれば、治療薬の改善につながるのです。

参考資料
1:参考資料1
2:参考資料2

この学問が向いているかも 食品科学、栄養学、生活科学、生物学

広島大学
生物生産学部 国際生物生産学プログラム 准教授
Thanutchaporn Kumrungsee 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 あなたに贈りたい言葉は「Curiosity(好奇心)」です。好奇心があれば毎日の生活の中で興味を持てることが増えますし、新しい発見にもつながると思います。
 私自身、食欲や栄養素とは別の研究に取り組んでいましたが、その中で偶然GABA(ギャバ)と食欲のつながりを発見しました。知識がなかった分野ですが、新たに勉強し研究に取り組んでいます。好奇心があれば、ほかの人が見過ごすことであっても「なぜ?」と疑問を持てると思います。ぜひ私と一緒に、まだ明かされていない謎を解いていきましょう。

先生の学問へのきっかけ

 将来何になりたいのかを考えたとき、医者に憧れを抱きました。希望通りにはならなかったものの、人々の命を守りたい気持ちはまだ残っていました。毎日の生活や健康に密接にかかわる要素を考えたとき、栄養・食品科学にたどり着きました。また、新しいことを学んだり謎を解いたりすることも好きだったので、栄養素や人体の仕組みにおもしろさを感じています。日本での留学中に数多くの健康食品があることに感心し、日本で研究をしたいと思いました。現在は栄養素のメカニズムを明らかにするために研究を続けています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

大学院進学/製薬会社/食品会社品質管理・製造

研究室
大学アイコン
Thanutchaporn Kumrungsee 先生がいらっしゃる
広島大学に関心を持ったら

 広島大学は社会に貢献できる優れた人材を育成し、科学の進歩・発展に貢献しつつ、世界の教育・研究拠点を目指す大学です。緑豊かな252ヘクタールという広大な東広島キャンパスを抱え、また、国際平和文化都市である広島市内等のキャンパスを含め、12学部、11研究科、1研究所、大学病院並びに11もの附属学校園を有しています。 新しい知を創造しつつ、豊かな人間性を培い、絶えざる自己変革に努め、国際平和のために、地域社会、国際社会と連携して、社会に貢献できる人材の育成のために発展を続けます。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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