夢ナビ 夢ナビ

TOPへ戻る

講義No.10785

アルツハイマー病発症の原因となる「タウ」の謎を解き明かす

アルツハイマー病とは?

 日本の認知症患者は500万人を超えると言われ、その約7割はアルツハイマー病です。この病気では、はじめ脳に老人斑と呼ばれるシミが現れ、やがて神経細胞内に神経原線維変化が生じます。すると、神経細胞死とともに認知機能の障害が現れます。シミはアミロイドβによるものです。一方、神経原線維変化はタウとよばれるタンパク質が異常化し、蓄積したものです。症状としては、まず新しいことが覚えられなくなります。これは短期記憶をつかさどる海馬周辺にタウが蓄積して、神経機能障害を引き起こすからです。その後、徐々に病変は大脳新皮質に広がり、親しい人の顔や名前が思い出せなくなるなど症状が進行します。現在、この病気の進行を止める術はありません。

タウの居場所が変わると病気になる!

 アミロイドβはアルツハイマー病にともない蓄積しますが、タウは産まれたときから神経細胞に豊富に存在するものです。したがって、神経細胞を支えてきたタウがなぜ異常化し、障害を与えるようになるかが研究されています。そのためには、まずはタウの正常な状態がわからなければなりません。脳の神経細胞には、微小管とよばれる細胞骨格があり、これに付着して安定化させるのがタウの役割と考えられています。正常脳では、タウは神経細胞の軸索と呼ばれる場所にあることがわかりました。しかし、病気の脳ではタウが細胞体や樹状突起とよばれる別の場所に異常蓄積し、このような神経細胞はやがて機能を失います。本来の場所にあるべきタウが、何らかのきっかけによって居場所が変わることが病気につながる重要なステップであると考えられます。現在、さらにその詳しいメカニズムについて研究が進められています。

将来は、正常老化の原因も明らかに

 100歳を超える高齢者の脳を調べると、実はみなさん少しタウが蓄積しています。老化すると物覚えが悪くなるといった正常老化の仕組みも説明できるかもしれません。ヒトがどれだけ健康に生きられるのか、どうすれば脳機能を保てるかが明らかになるでしょう。


この学問が向いているかも 神経病理学、脳科学、生命科学、基礎医学

同志社大学
生命医科学部 医生命システム学科 准教授
宮坂 知宏 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 勉強は、勉めることを強いられると書きます。文字どおり受験勉強は楽しいものではありませんが、それが学問となると能動的で自由な精神活動になります。
 例えば、受験を受験学という学問として考えてみます。現代の受験システムの問題点を明らかにし、仮説と検証を繰り返し新たな入試方法を開発、世に提案することになります。どうです?急に受験が面白い、楽しい研究対象と思えるようになりませんか?
 私は脳の研究をしていますが、世の中のどんなことも学問になります。あなたもぜひ、そういう種を見つけて、学問を楽しんでください。

先生の学問へのきっかけ

 高校のときは有機化学をやりたいと思っていましたが、途中から人の役に立つことをしたいと思うようになり、薬学部に進学しました。高校の化学の授業でアスピリンの合成法を習った時、簡単な化合物から薬も作れることに感動した思い出があります。大学に入ってからは脳のメカニズムや病気に関心を持ちました。最初は脳虚血という脳の血液が流れなくなる病気で創薬の研究を行いましたが、もっと原因不明とされる病気の解明にチャレンジしたいと思うようになり、神経細胞と関わりがあるアルツハイマー病の研究を行うようになりました。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

大学教員/製薬会社研究員/研究所研究員/公務員労基監督官/食品会社開発/製薬会社営業/精密機器メーカー営業/教諭(小中高)/臨床検査技師

研究室
大学アイコン
宮坂 知宏 先生がいらっしゃる
同志社大学に関心を持ったら

 同志社の創立者新島襄は、1864年、日本の将来を憂い、国禁を犯して脱国、欧米で学び、帰国。そして、1875年、京都に前身となる同志社英学校を設立しました。現在、同志社大学の校地は2つあります。今出川校地は同志社大学の誕生の地であり、140年以上にわたる同志社の歴史を感じることができるキャンパスです。キャンパス内の5棟は国の重要文化財に指定されています。京田辺校地は緑豊かな自然に包まれ、79万m2という広大な敷地に最新の施設・設備を有し、現代建築の精緻さを誇る学舎が並んでいます。

TOPへもどる