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講義No.10776

子どもの心に寄り添い、自己肯定感を高める臨床心理学

日本の子どもは自尊感情が低い?

 ありのままの自分を、かけがえのない存在として大切にする気持ちを「自尊感情」「自己肯定感」といいます。ほかの国と比較して、日本の子どもたちは自尊感情が低いという調査結果が出ています。特に思春期は自己嫌悪に陥ったり、悩みを抱えたりしやすい時期で、学校では子どもたちの自己肯定感を高める取り組みに力を入れています。そのため児童・生徒へのアンケートなどから成長段階ごとに心の状態を解き明かし、自己肯定感を高めるにはどうしたらよいかを考える研究が行われています。

自己肯定感をどう測るか

 自己肯定感が高いか低いかを心理学的に判断するときには、アメリカのローゼンバーグが1965年に発表した「自尊感情尺度」が広く使われています。
 東京都の委託で行われた研究では、「自分のことを好きか」などの“自己評価・自己受容”、「みんなの役に立ちたいと思うか」など“(他者との)関係の中での自己”、「自分のことは自分で決めたいと思うか」などの“自己主張・自己決定”という3つの柱をもとに質問を構成しています。回答結果を三角形のチャートに表し、その人の自己肯定感の傾向を分析します。その調査結果をもとにした児童生徒理解や支援のためのガイドラインをまとめ、子どもの自己肯定感につなげています。

研究結果を実社会に還元する

 心理臨床実践や調査研究を通して人の心を理解し、課題や困難がある場合はどのようなサポートや心のケアができるかを考えるのが臨床心理学です。学校現場では教員や保護者にも話を聞きながら、教育心理学や発達心理学なども含めて幅広い領域で研究を深めます。臨床心理学を含む応用心理学という学問分野の特徴の一つとして、調査・分析をするだけでなく、得られた結果を現場での実践にどう生かすかまでを考えるということが挙げられます。変化の激しい時代で、子どもたちの心はさまざまなことに影響を受けています。心理学には、子どもたちの健やかな成長を支える役割が期待されているのです。


この学問が向いているかも 臨床心理学

奈良女子大学
生活環境学部 心身健康学科 教授
伊藤 美奈子 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 心理学は、心の問題を抱えている人の治療をするものだと誤解されることがよくあります。しかし、心理学的なアプローチとは、話を聞いて悩みに寄り添い、その人がもともと持っている力を引き出したり、自身で成長していくお手伝いをしたりすることです。
 また、心理学は、自分について深く知ることができる学問です。思春期・青年期には、自己否定や自己嫌悪に陥る若者が増えるといわれますが、自分のことがよくわかっていればありのままの自分を認め、大事にすることができます。ぜひ心理学を通して、自分と他者について考えを深めてください。

先生の学問へのきっかけ

 本を読んだり、文章を書いたりするのが好きで、大学では国文学を専攻し、卒業後、国語の教員として働きました。クラスに不登校の子どもがいて、どのように対応すればよいか悩んだときに感銘を受けたのが河合隼雄先生の著書『新しい教育と文化の探求―カウンセラーの提言』です。感想を河合先生に手紙で伝えたところ、なんと直接、先生からお電話があり、現職の教員が心理学を学べる道もあると教えていただきました。河合先生に背中を押していただいたことが、大学院で臨床心理学を学ぶ大きなきっかけの一つとなりました。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

国家公務員・地方公務員/教諭(小・中・高校)/教育現場や医療現場のカウンセラーなど

大学アイコン
伊藤 美奈子 先生がいらっしゃる
奈良女子大学に関心を持ったら

 世界に誇れる文化と歴史に包まれた静かな環境の中で、奈良女子大学は、時代や社会の要請に応え、女性の高等教育機関として、高度な学術研究に基づく教育環境を提供し、自立して社会で活躍できる女性人材を養成しています。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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