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講義No.10775

集まって動き回る微生物の行動を、紙の上で表現する方程式

飢餓状態になると「変身」する不思議な微生物

 土壌中に生息している多種多様な生物の中には、餌があるときはアメーバーのように動き回って餌を探していますが、周囲に餌がなくなると約10万ものアメーバー状の生物が集まってきて「集合」します。やがて、「集合」したたくさんのアメーバー状の生物は一つのナメクジのような形になって移動するという、面白い特性をもつ菌がいます。生物学者は、「集合」の仕組みがアメーバー状の生物が分泌するフェロモンに関係があると考え、それを説明するために「走化性方程式」という方程式を考え、研究しました。

生物学の方程式に興味深い数学が潜んでいる

 この走化性方程式はもともと、生物が集まる現象を説明するために生物学者が考え、研究した方程式です。それを数学者が見つけて興味を持ち研究しました。その結果、アメーバー状の生物の総和に対応する量がある一定量より小さいと「集合しない」こと、逆にある一定量より多い「集まる」ことが方程式の中で「観察できる」ことを示しました。そして、その「一定量」が8πという値と密接に関係があることを示し、一か所に「集まる生物の量」も8πという値と密接な関係があることを示しました。

いろいろな現象を紙と鉛筆で表現

 微生物の動きを表す方程式と「8π」という数字の関係は、ちょっと意外かもしれません。しかし、大学で学ぶ数学は、単に与えられた問題の「解」を導くだけの高校までの数学とは違い、生き物の動きをはじめとするいろいろな自然現象や数学以外の学問のジャンルの問題を数学のことばでとらえ、研究し、理解する面白さがあります。
 自然界に多数いる生物の行動、宇宙に点在する星の動きなど、実際に観測しようとすると長大な時間と手間、多数の観察機器が必要となります。そのような現象も、方程式として表し、紙と鉛筆で研究することで、紙の上でそれらいろいろな現象を「観測」できます。そして、その研究を掘り下げることで新たな数学の法則が発見されることもあります。

参考資料
1:生物が集まる現象
2:くらべてみよう

この学問が向いているかも 数学、微分方程式論

福岡大学
理学部 応用数学科 教授
仙葉 隆 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 「数学」と聞くと、1人でコツコツ勉強するイメージかもしれませんが、数字や数式という理論的な「言葉」で問題を解くことは、「自分はこういうふうに理解している」と、相手に伝える行為だと言えます。言うなれば、相手とコミュニケーションを図る能力を高めてくれるのが、数学の面白味なのです。
 あなたが大学で数学を学ぼうと考えているのならば、今のうちに本や新聞などをたくさん読んで、文章を読み解く力を身につけるよう努力してください。数学に限らず、大学で学ぶあらゆることに役立つはずです。

先生の学問へのきっかけ

 中学・高校を通じて数学と物理が好きだったため、大学でも数学を学べる学科を選びました。大学院進学後、エネルギーや生物など、いろいろなものが狭いところに集まる現象に興味を持ち、それを数学で表現したいと考え始めたのが、「偏微分方程式」を研究するようになったきっかけです。
 当初は研究に苦戦したものの、先輩が研究している「走化性方程式」に触発され、先輩の助言を受けながら現在の研究分野に進みました。しかし現在も、「狭いところに集まる状況を表現したい」という最初の目標にはまだ到達していません。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

教諭(小学校)/情報通信会社システムエンジニア

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仙葉 隆 先生がいらっしゃる
福岡大学に関心を持ったら

 福岡大学は、9学部31学科、在学生2万人を有する総合大学です。多くの学生や教職員が行き交う広大なキャンパスは福岡市の南西部に位置し、都心部との交通の便もよく、活気に満ちあふれています。「ワンキャンパス」に全学部が集結しており、総合大学の魅力を生かし、学問・研究および課外活動などにおいて学部間の交流が盛んに行われ、文系・理系だけにとどまらない幅広く多様な視野と知識を得ることが可能な大学です。また、創立から80数年で輩出した卒業生総数は25万人を超え、あらゆる分野で力を発揮しています。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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