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講義No.10768

口内の健康を守ることが全身の健康につながる!

むし歯菌はどこから来るのか

 むし歯菌は、むし歯を引き起こすだけではなく、全身の病気の原因にもなり得ます。その一例が感染性心内膜炎です。心室中隔欠損症など先天的な心疾患のある人には心臓内に一種の引っかかりのようなものがあり、血管内に入り込んでしまったむし歯菌が増殖して炎症を引き起こすことがあります。
 病気の原因となるのは10人に1~2人が保有しているコラーゲン結合タンパクを持ったむし歯菌であることが分かってきました。どんな人でも、歯が生えてくるまでむし歯菌は持っていませんが、歯の本数が増えるに従い、養育者から伝播する形でむし歯菌が口内に入ってきて定着するのです。

歯周病菌が血液に入る?

 歯周病も同様に、全身の病気と関係があります。糖尿病の悪化に影響するケースや、妊婦の場合は早産や低体重児出産のリスクがあるとも言われています。歯周病菌が血管内に入ることでさまざまな病気を引き起こすのです。歯周病菌は酸素があるところでは生きられないため、歯周ポケット(歯と歯ぐきの間の溝)のほとんどない子どもの口内では定着しません。その後、歯周ポケットが深くなりはじめた思春期頃から、パートナーの唾液を通じて入ってきたものがポケット深くに定着しはじめます。血管内は酸素が豊富なため歯周病菌は生きられないのですが、歯周病菌の出す物質や菌の死骸が病気の原因になるのです。

健康づくりはまず口内から

 10人に1~2人が保有しているコラーゲン結合タンパクを持ったむし歯菌は、脳出血の一因にもなっていることも分かってきました。さらに、難病に指定されている潰瘍性大腸炎や IgA腎症など、メカニズムが詳しく解明されていない病気との関係性が明らかになってきました。
 口内への注目が高まるにつれ、歯科や口腔外科のない病院にも歯科を作ろうという動きが出ています。人々の健康増進のために、口内環境のコントロールと改善の重要度はさらに増していくことでしょう。そして、それに貢献できるのが歯学の分野ということです。


この学問が向いているかも 小児歯科学、歯学、口腔感染症学

大阪大学
歯学部 歯学科 教授
仲野 和彦 先生

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先生がめざすSDGs
メッセージ

 学校の勉強は実社会で役に立たないという印象を持っている人もいますが、意外と役に立つことが多いです。自分自身の経験から、特に勉強しておいた方がいいのが英語だと思います。どの分野の職業もグローバル化が避けられない中、世界の人を相手にし、コミュニケーションをとるには英語力を磨くことが重要だと実感しています。
 そして、よく知らない分野や世界に飛び込む勇気を持つことの尊さもお伝えしたいです。未知の分野には多くの知る喜びと共に、大きなチャンスも眠っています。

先生の学問へのきっかけ

 医療系の仕事に漠然とした興味があったのと、数ある体のパーツのなかで「歯」だけを取りあげている以上、何か魅力があるに違いないと考え、歯学を選びました。実際、むし歯や歯周病、歯の修復や口腔外科など、細かく専門が分かれています。最近になって、口内環境が全身に及ぼす影響が明らかになるなど、非常に学びがいがあり将来性のある分野だと感じています。実は英語を使う職業にも憧れがあったのですが、研究をしていると論文や海外の学者とのディスカッションなどで英語を使う機会も多く、その点でも満足しています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

歯科医師(開業歯科医院、市中病院、大学病院)/大学研究者/企業研究者/行政医系技官

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仲野 和彦 先生がいらっしゃる
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 自由な学風と進取の精神が伝統である大阪大学は、学術研究でも生命科学をはじめ各分野で多くの研究者が世界を舞台に活躍、阪大の名を高めています。その理由は、モットーである「地域に生き世界に伸びる」を忠実に実践してきたからです。阪大の特色は、この理念に全てが集約されています。また、大阪大学は、常に発展し続ける大学です。新たな試みに果敢に挑戦し、異質なものを迎え入れ、脱皮を繰り返すみずみずしい息吹がキャンパスに満ち溢れています。

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