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講義No.10764

渋滞からネットオークションまで、社会問題の解決に数学で挑む

社会システム工学とは

 車で移動するとき、どういう経路をとれば移動時間が最小化できるのかは、課題を数理モデルとしてとらえ、最適な答えを求めるという「数理最適化」の手法で考えることができます。交通渋滞に対しては、「ゲーム理論」を使って、混雑がどういうふうにバランスをとって落ち着くのかを解析することで、渋滞の解消を図ることができます。このように、さまざまな社会問題を「数理最適化」と「ゲーム理論」を使って解決しようとする「社会システム工学」という研究分野が、「情報系」の学問の中にあります。

ほかの学問の知見も取り入れた研究

 ゲーム理論は、例えばオークションのように利害の異なる複数の人が関わる場で、どのようにすれば、迅速で効率的な運用ができるのかという問題を数学で考える方法です。もともとは経済学の分野で研究されてきました。しかし、すべてが数学だけでコントロールできるわけではありません。
 例えば、数理最適化やゲーム理論で導き出したネットオークションの運営について、被験者を使った実験を行って検証してみると、数学的には正しくても現実は理論通りにはいきません。行動経済学の視点も加えて、うまくいかない原因を突き詰める研究が必要になります。

大きな可能性を秘めた学問

 交通渋滞の緩和などの社会問題は、人間の行動に加え、法律や文化も含めて考える必要があります。エスカレーターで右に立つか左に立つかといった、地域ごとに異なる文化を、制度をつくって一律にしようとすると、かえって効率が悪くなる場合があるのです。一つの問題に対して、シミュレーションをベースにしたり、ゲーム理論を使ったり、最適化の計算をして効率を高めるなど、多角的なアプローチの方法があります。
 現在、工場での生産計画やコンビニチェーンの配送計画、石油パイプラインの設計など、さまざまな場面で活用されている社会システム工学は、まだ100年足らずの歴史しかない新しい学問です。まだ誰も足を踏み入れたことがない未開の地が広がっている分野なのです。

参考資料
1:OptLab 研究室紹介

この学問が向いているかも 社会システム工学、数理情報学

電気通信大学
I類(情報系) 情報数理工学プログラム 准教授
高橋 里司 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 「大学の4年間でこれを学ぶ!」という夢を持ってください。途中で違う分野に興味が移ってもかまいません。夢や目標があれば、大学に入ってからもさまざまなことに興味が広がっていくはずです。そして、普段から身のまわりのことに疑問を持ってみましょう。例えば「なぜ通学で電車を3回も乗り換えなくてはいけないのか?」という疑問から、ほかの人とは違う問題がみつかるかもしれません。
 最近、企業で数理最適化を専門とする部署が増えています。社会システム工学は、これからまだまだ発展していく可能性が大きい分野です。

先生の学問へのきっかけ

 高校生の頃にウェアラブルコンピュータが出はじめ、センシングを学びたくて大学は工学部を選びました。ただ数学嫌いで、1年生必修の線形代数や微分積分は、ぎりぎり単位が取れる程度でした。3年生で専門分野を決める際、たまたまオークションの研究をしている先生の研究室をのぞいて興味を持ったことがきっかけで、入学時に考えていたのとはまったく違う分野に進むことになりました。現実の事象から数式を立てていくプロセスが、抽象的な定理や数式を解くことよりも楽しくて、自分にしっくりなじむ感覚があったのです。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

IT企業データサイエンティスト/IT企業システムエンジニア/航空会社総合職

研究室
大学アイコン
高橋 里司 先生がいらっしゃる
電気通信大学に関心を持ったら

 電気通信大学は、東京にある理工系国立大学で、「工学」と「理学」のうち、特に情報分野および理工分野を核とした教育研究を行っています。先端科学技術を支える全分野、例えば、情報、通信、電子、知能機械、ロボティクス、光科学、物理、量子、化学、物質、生命などの分野を網羅しています。社会で活躍する人材の育成をめざし、ものづくりに意欲を燃やす学生の期待に応える教育環境を提供します。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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