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講義No.10762

純粋数学と応用数学~数学は社会とどう関係しているのか~

流体の動きを記述する偏微分方程式

 流体の動きは偏微分方程式で記述することができます。偏微分方程式は複数の変数を持つ微分方程式です。流れるものはすべて流体と見なすことができます。気体や液体はもちろん、砂の流れや道路を走る車も流体です。偏微分方程式の利点は、これらのさまざまな現象を、1つの方程式で表現できることです。それぞれの状態に応じて、変数の数や数値を変えればそれが可能です。このような便利な機能があるため、工業分野でシミュレーションなどに利用されています。

自然現象と数学は違う

 このように数学では異なる現象を同じものと考えることができます。これは自然現象の中から共通のパターンを見出し、それを数式化するからです。しかし、数学と自然現象は同じものではありません。自然現象にはさまざまな要素が含まれていますが、それらをすべて取り出すことはできないので、重要なものだけを抽出します。また、現象が起こる環境が異なることも自然現象の特徴です。例えば、広がった空間とパイプの中などの空間では流体の動きは異なります。
 そこで、簡単なモデルを作り、そのなかで現象を表現する方程式を考えるのが数学です。工業分野で利用できる数学を応用数学と言いますが、いったん数式化されると純粋数学として発展していきます。例えば、偏微分方程式で一意的な解が存在しない場合も考えられるなど、方程式としての性質や限界が明らかになっていくのです。それが数学上の解決すべき大きな課題となります。

数学の発展が社会に役立つ

 数学がすべて自然現象の解析に使えるわけではありません。数学で解がないものは自然現象の解析には使えません。モデルを作ったからといって、すべてが解析できるとは限らないのです。一方で、純粋数学の発展が社会に役立つ場合もあります。例えば抽象代数学の群論が、コンピュータの暗号化技術に生かされています。自然現象から生まれ発展した数学は、ほかの技術との融合で社会に活用される場合もあるのです。


この学問が向いているかも 数学、理論数学

九州大学
共創学部 共創学科 准教授
ブレジナ ヤン 先生

メッセージ

 高校の勉強と大学の研究は大きく違います。高校では、やりたくなくてもある意味強制によって勉強しています。しかし、大学では何事も主体的に考えて行う生活に変わります。もちろん、間違いがあれば自分の責任になります。すべて自己責任で考え、行動することが求められるのです。
 勉強や研究に対する姿勢も同じです。与えられる課題を勉強するのではなく、自分で課題から考える必要があります。これは、大学だけでなくその後の人生においても必要な姿勢です。大学時代は、そのための重要なスタート地点なのです。

先生の学問へのきっかけ

 私が数学に関心をもったのは、1つの偏微分方程式でいろんな自然現象を説明できることを講義で知ったからです。覚えることは好きではなかったので、1つのことを理解すればすべてに応用できること、その理論性に魅力を感じました。また11年前、私は日本に行きたいと思いました。その頃は日本の情報は少なく、寿司と新幹線というイメージしかなかったのですが、たまたま、数学の研究会に九大の先生が訪れ、それをきっかけに日本に行くことになったのです。今はほどほど都会で海や山など自然も豊かな福岡に満足しています。

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ブレジナ ヤン 先生がいらっしゃる
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 九州大学は、教育においては、世界の人々から支持される高等教育を推進し、広く世界において指導的な役割を果たし活躍する人材を輩出し、世界の発展に貢献することを目指しています。また、研究においては、人類が長きにわたって遂行してきた真理探求とそこに結実した人間的叡知を尊び、これを将来に伝えていきます。さらに、諸々の学問における伝統を基盤として新しい展望を開き、世界に誇り得る先進的な知的成果を産み出してゆくことを自らの使命として定めています。

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