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講義No.10750

動画に映り込んだ不要なものを簡単に消す技術とは

多用されるコンピュータグラフィックス

 近年映画やゲームなどの映像の大半はコンピュータグラフィックスを使って編集されています。これらの編集技術は目覚ましい勢いで進化しており、専門家でしかできなかった複雑な編集がアプリやオンラインソフトを使って誰でも簡単にできるようになってきました。

不要なものを動画から消す

 動画を撮っていると人や物体などの望まないものが映り込むことがあります。それらを消すには、これまでは一コマずつ手作業で画像処理しなければならず、膨大な時間がかかっていました。そこで消したい対象物をおおまかにマークするだけで、コンピュータが自動的に消してくれるプログラムが作られました。
 対象物、例えば歩く人をマークすると、コンピュータはその対象物の動きの情報(速度場)を求め、それを頼りに動画内を追跡します。そして追跡された対象物は動画から切り取られます。
 切り取られた箇所には対象物によって隠れていた背景の画像を作ってはめ込みます。対象物が動いていれば、その前後には対象物に隠れていた(もしくはこれから隠れる)部分が必ず見えているので、それを自動的に見つけてはめ込むのです。ただしカメラ自体が動いていると背景の角度などが変わるため、そのままはめ込もうとしてもぴったり合いません。そこで、カメラの動きによる背景のゆがみを自動的に補正する機能を加えています。

技術の進歩が創造性を高める

 現在までに開発したプログラムでは、対象物を動画の最後まで正しく追跡しきれないことがあり、途中で何回か対象物を指定し直す必要があります。この課題解決のために、AIの機能を組み込んで対象物を学習させることで、最後まで自動で完璧に追跡しきれるような方法が模索されています。
 このような技術はGPUの発展により可能となりました。GPUはもともと3Dグラフィックスの描画のために開発された並列計算機ですが、その汎用化にともない今までより格段にコンピュータの計算能力が上がりました。技術の進歩は、人々の創造性を自由に羽ばたかせてくれるのです。


この学問が向いているかも 数理システム工学

静岡大学
工学部 数理システム工学科 准教授
岡部 誠 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 コンピュータや人工知能というと、人間に代わって何でも自動でやってくれる、というイメージをお持ちかもしれませんが、実はそうではなく、これらはむしろ私たち人間が自分たちのアイデアを具体化するために使う「道具」です。今までは専門的な知識や技術のある人にしかできなかったことを、誰でも簡単に楽しめるようになる、そんな可能性を秘めています。
 私は動画から不要なものを消したり、風景画の中の水や炎を動かして見せたりするようなソフトを開発しています。あなたも興味があるなら、ぜひ一緒に学びましょう。

先生の学問へのきっかけ

 ファミコンなどのゲームが大好きだったので、自分でもゲームを作ってみたいと思い、コンピュータの勉強を始めました。作ることが面白くなり、より高度に作るために数学や物理学を勉強していると、今度は学問が面白くなり、さらに深く研究を進めるようになりました。ある時、映像製作の仕事をしている人が「コンピュータの計算は速いがそれを使う人間の操作が遅い」と言うのを聞いて、人を助けるソフトを開発しようと思いつきました。これからは人工知能を組み合わせて、より手軽な動画処理ソフトを生み出していきたいと思っています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

放送局/映像製作/ゲーム製作/システムエンジニア/教員/自動車産業/電機メーカーなど

研究室
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岡部 誠 先生がいらっしゃる
静岡大学に関心を持ったら

 静岡大学は、6学部19学科と全学横断型教育プログラム「地域創造学環」を擁する総合大学のメリットを生かし、学生の知的探究心に応えることができる幅広い学問領域の教育を実施しています。大学のビジョンは「自由啓発・未来創成」であり、これは自由によってこそ自己啓発を可能にし、それを通じて、平和かつ幸福な未来を創り出すとの力強い思いを表明しています。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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