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講義No.10749

熱との戦いを制して、サステイナブルな社会の実現へ

あらゆる機器は熱と戦っている

 飛行機はもちろん、自動車やパソコンなど、あらゆる機械や機器は熱との戦いが宿命となっています。一般に、発生する熱から、それら機械機器を守るために、熱交換器が使われます。熱交換器は、温度の高い流体から温度の低い流体へ熱を移動させる機器です。例えば電気エネルギーの供給元である発電所は熱交換器の塊のようなものです。また熱交換器は機能に比例して機器が大きくなりやすいため、私達研究者は、効率アップを行うことで小型化を実現し、省エネルギーだけでなく省資源にも貢献することが重要な課題です。

「気液二相流」で効率を向上

 熱交換器の効率を上げる方法としては、「沸騰」や「凝縮」を利用します。「沸騰」は沸点を変えられる冷媒を使い、低温で沸騰するようにすると、外気を取り込んだ際に激しく沸騰が起こり、分子運動が盛んになって熱を回収します。「凝縮」は例えば冷えたジュースが外気に触れると容器に水滴が付着します。これは空気中の水分が冷やされて、まさに凝縮した水滴としてあらわれます。一方でジュースは、水分の運動エネルギーを放出し、温まります。
 沸騰も凝縮も、分子の運動形態を変えることで熱回収率アップにつなげているものです。ただし、気体と液体という流体特性の違うものを熱交換器内に流すこと(気液二相流)で、物理現象はとても複雑になります。流体の流速などで現象も変わるため、数式化するには可変要素が非常に多く、機器設計のハードルとなるのです。

エコにつながる工場排熱の再利用

 熱交換器の効率アップは省エネルギーをもたらし、環境に優しい、持続可能(サステイナブル)な社会の実現に寄与することになります。さらに環境の観点から考えるべきなのが、工場排熱です。再利用するには多額の設備投資が必要なため、捨てざるを得ないエネルギーがたくさんあふれています。現在、工場排熱に関して世界中でさまざまなアイデアが出されており、うまく再利用できれば省エネルギーだけでなく、地球温暖化問題が解決する可能性も秘めているのです。


この学問が向いているかも 熱工学、流体力学、エネルギー学

電気通信大学
III類(理工系) 機械システムプログラム 准教授
榎木 光治 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 熱交換器業界をリードしているのは日本です。つまり最先端の研究ができるということであり、自分が作った熱交換器が一瞬にして世界中に広がっていく可能性があります。熱交換器はさまざまな機械や機器に使われており、将来の選択肢も幅広いです。流体力学と熱工学の集大成のようなものですから学問として挑みがいがあります。
 たとえ数学が苦手でも諦めず努力を続けてください。大学で数学の本質を知れば数学への見方が変わりますし、作りたいものを作るには「この現象を数式化しなければならない」と、自然とモチベーションも上がります。

先生の学問へのきっかけ

 大学に入った当初はロボット開発にも興味が湧いていました。しかし肌に合ったのは熱工学で、発電所やエアコンそして飛行機のエンジン開発などがすべて熱のことで苦労していると知り、熱交換器に興味がわきました。そこで研究室を選択するときに、発電所やエアコンに搭載されている熱交換器の高性能化をめざし、最終的に地球のエネルギー問題に携わることができる大学院に入学しました。大学院では、自分が一から設計して実験装置を作り、さらにその装置を用いて世界で誰も取得していないデータを得ることにやりがいを感じ、今に至ります。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

自動車メーカの研究開発職/プラントエンジニアリングの研究開発職/冷凍空調機器メーカの研究開発職/産業機器メーカの研究開発職

大学アイコン
榎木 光治 先生がいらっしゃる
電気通信大学に関心を持ったら

 電気通信大学は、東京にある理工系国立大学で、「工学」と「理学」のうち、特に情報分野および理工分野を核とした教育研究を行っています。先端科学技術を支える全分野、例えば、情報、通信、電子、知能機械、ロボティクス、光科学、物理、量子、化学、物質、生命などの分野を網羅しています。社会で活躍する人材の育成をめざし、ものづくりに意欲を燃やす学生の期待に応える教育環境を提供します。

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