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講義No.10738

水質システムをデザインするためのバランスシート「物質収支」

水資源を循環させて使う

 生態系は、さまざまな生物やそれらの生息場所を提供する土壌や水、大気などが組み合わさったシステムであり、環境そのものです。中でも水はすべての生命を支える重要な物質です。しかし、人間の活動によって河川の水は減り、汚れていきます。「水質システム工学」は、河川や湖沼などの自然環境や水処理プラントなどの人工環境における水質変化メカニズムを理解し、適切な水循環システムをデザインする学問です。
 現在の技術を使えば、泥水からでも純水が作れますが、純水では生きものが生きられません。単に汚れた水をきれいにするだけでなく、目的に合わせて適切な水質の水を効率的に供給・利用する水循環システムの構築が必要です。

「物質収支」を計算して定量化する

 そこで基本になるのが、「物質収支」という視点です。要するに、水やそこに溶け込んでいる物質のバランスシートを作成するのです。ある環境汚染物質が、そのエリアにどれだけ入って、出ていったのか、物質収支をとることでその物質の増減に最も影響力の大きいプロセスを同定していきます。水循環システムの効果的な改善に結びつく提案をするためには、イメージや思い込みで考えるのではなく、定量的に数値化してものごとをとらえ、問題点を把握する必要があります。そうすれば、効果的な対策を立案できるし、さまざまな対策の影響予測をすることも可能になります。環境工学全般で役立つ物質収支による定量化は、水質システム工学においても信頼できるツールです。

安心・安全な暮らしに直結

 「良い環境とは?」という問いへの答えは、多くの場合「人間にとって都合の良い環境」のことです。しかし、水質システム工学の適用範囲は湖沼から建物の水処理装置までと幅広く、人間にとっての都合のよさだけでなく、人間が自然界と共存し、社会をより良く持続的に変えていくための提案をする学問分野です。水は身近な物質ですが、水質システム工学の対象は広大で無限ともいえる領域なのです。


この学問が向いているかも 水質システム工学

龍谷大学
先端理工学部 環境生態工学課程 教授
岸本 直之 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 環境工学では特定の対象だけでなく、世の中のあらゆるものが関係してきます。どのような場面でどういう知識が必要になるかわからないので、貪欲にいろいろな分野に関心を持ちましょう。使い道がないように思えても、ひょんなところでつながることもあります。
 幅広い視野を持って課題に取り組めば、知識を総合して新たな価値を見出すことが可能になります。特に水質システム工学は生命を育む水をまもり、適切な利用方法を追求する学問で、社会に必要とされ、社会に貢献できるという魅力があります。ぜひ一緒に学びましょう。

先生の学問へのきっかけ

 私が生まれたのは兵庫県の播州織産地で、町の中に機織りの音が響いていました。小学生の頃、織り糸を染めた後の排水が河川に流入し、日によって川の色が赤かったり青かったりするのを見て、汚れて大変だなあと思ったのが原体験です。数年後、引っ越した先でPCBの焼却処理が計画され、環境問題に関心を持ちました。当時は知識がなく、よしあしの判断もできませんでしたが、身近に経験したできごとです。高校生の頃は日本版のスペースシャトルを作りたいという夢もありましたが、結果的に私の原点である環境工学を選びました。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

大学教員/教諭(中学校)/官公庁環境保全/官公庁水道局/水処理プラントメーカー設計/ポンプメーカー研究開発/上下水道コンサルタント技術士/検査機器メーカー研究開発/環境分析会社技術

大学アイコン
岸本 直之 先生がいらっしゃる
龍谷大学に関心を持ったら

 『進取と共生』〜世界に響きあう龍谷大学〜
 龍谷大学は、370年の伝統を超え、新たな一歩を踏み出しました。
 その歴史は、江戸時代初期の寛永16年(1639)、京都・西本願寺に、仏教の研究と人材養成のための「学寮」が設けられたことに始まります。
 そして、近世から近代、現代への日本の歴史の中で新しさを重ねて370余年。
 現在では京都・滋賀の3つのキャンパスに、9学部・31学科、専攻と短期大学部、大学院を擁する、全国屈指の総合大学として、発展を続けています。

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