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講義No.10734

持続可能でみんなが幸せになれる貿易を実現しよう

Win-Winの貿易のために

 貿易では双方に利益の出る関係をめざしますが、輸入国が生産現場の実態を把握しきれていないこともあります。例えば安くていいものを仕入れたとき、その裏では生産者が不当に扱われていたり環境破壊を引き起こしたりしている事例も見られます。
 課題解決のためには多国間のルール作りが必要です。その役割の一端を担っているのが世界貿易機関(WTO)ですが、不当な労働の実態を訴えるための委員会や規則はまだ整備されていません。そこで、国際的な非政府組織(NGO)などの団体が環境や生産者などに配慮して作られた生産物に対して認証を行っています。

生産者を可視化する認証

 有機JAS認証のコーヒーを生産するブラジル在住者へのインタビュー調査では、認証を受けてから生活の質が向上したことがわかりました。有機JASの認証を受けるためには、農薬や化学肥料を使わずに農産物を作る必要があるので、生産者が農薬を吸い込むリスクが下がり、生活環境や健康状態が改善しました。また、ジェンダー平等を条件にしている認証の場合は、生産者コミュニティの生活水準向上を促進する効果がありました。しかし生産には通常より手間がかかるため、安く買いたたかれてしまうと生産者は生活ができません。認証を受けた商品は、そうでないものに比べて価格が高く設定されますが、生産現場の状況が可視化されるため消費者も安心して商品を手に取ることができます。このように、生産者と消費者双方に利益をもたしうると考えられます。

社会が変われば貿易も変わる

 農産物や加工品だけでなく、「廃棄物」や「情報」も貿易品目のひとつです。日本は国内で処理、リサイクルしきれなかった廃プラスチックを海外に輸出しており、環境への影響と共に問題視されています。また、インターネット上でやりとりされるデータやサービスに対する世界的なルールはまだ整備途上です。社会の変化に合わせ、持続可能な貿易を実現するための方法を世界規模で議論することが求められています。


この学問が向いているかも 総合政策学、経済学

津田塾大学
総合政策学部 総合政策学科 教授
新海 尚子 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 まずは課題だらけの世界をつくってきてしまった大人のひとりとして謝りたいと思います。そのうえで、よりよい社会をつくるための方法を一緒に考えていきたいです。
 世界を変えるためには海外に出なければならないと考えているかもしれませんが、実は日本にいてもできることがあります。例えばあなたとは違う意見にも耳を傾けることです。また、今までとは異なるものやサービスなどを試してみることも大切です。その結果、自分の考えが変わらなくてもかまいません。未知の世界で感じたことは、きっとあなたの成長につながります。

先生の学問へのきっかけ

 子どもの頃は食材の原産国を調べたり、余った給食を見て「困っている人に食料を届けられないかな」と考えたりしていました。その後日米貿易摩擦に関するニュースを見て、安くて質のいい日本の商品がなぜ他国の迷惑になるのかと疑問を抱きました。両国がWin-Winになる方法を見つけたいと思い米国留学し、貿易、国際経済、開発経済を研究しています。また、大学院生時代にメキシコに行った際に、汚染された空気で目が痛くなる経験をし、貿易だけでなく環境にも考慮した国際的な規約が必要だと実感し、その双方が良くなる方法を研究しています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

サービス業(交通、金融、化学)/研究職/行政職(国際開発協力)

大学アイコン
新海 尚子 先生がいらっしゃる
津田塾大学に関心を持ったら

 西暦1900年、津田梅子によりわが国初の女子高等教育機関の一つである「女子英学塾」として誕生。本学はall-round womenの養成(全人教育)という創立者の先覚的で熱烈な理想に基づき、学生の個性を重んじる少人数教育と高度な教育研究を積み重ねています。卒業生の多彩な活躍と社会的な貢献-男性と女性の真の共生の実現は創立者津田梅子の願いであり、本学が真摯に取り組んできた課題です。性別や世代や国境を越えた交流、大学と地域との交流や「学び合い」を通して、より豊かな人間性を育みます。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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