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講義No.10718

なぜカナダから世界的演出家が生まれたのか?

既存の概念を覆したルパージュ

 カナダは演劇が盛んな国です。各地で演劇祭が開催され、国際的に活躍している演出家や劇作家を輩出しています。その中でもあなたはカナダの演出家であるロベール・ルパージュを知っていますか。彼の演劇は多くの観客を魅了してきました。演劇といえばセリフが中心のイメージがありますが、彼は映像を多用することから、「映像の魔術師」と呼ばれています。舞台上の小道具をさまざまなものに見立てることも巧みで、例えば『月の向こう側』という作品では、円形の窓を宇宙船のハッチや満月、金魚鉢といったものに変化させて観客を楽しませています。

異文化とのコラボが生み出すもの

 ルパージュは積極的に異文化とのコラボレーションを行っています。日本の文化からも刺激を受け、歌舞伎の女形や文楽といった伝統芸能から着想を得た『エオンナガタ』や、広島の原爆を題材にした『HIROSHIMA 太田川七つの流れ』といった作品を生み出しました。ひとつの国や分野だけでは発想が限定的になりますが、ほかの文化圏の人の考え方やさまざまなジャンルを巧みに取り入れることで、新たな魅力を生み出しているのです。

演劇から分かること

 ルパージュが演出に多様な要素を取り入れるのは、カナダのケベック州出身ということが大きいでしょう。カナダは英語圏だと思われがちですが、ケベック州はフランス語圏です。ケベック州の人々はカナダの中でもマイノリティに属するので、広く世界的認知を得るために、言語に頼らない表現を必要としました。物語も異なる文化の人々に比較的理解しやすいもので、演劇に触れたことのない人でも楽しめる作りになっています。だからこそ、日本を含むさまざまな国で受け入れられているのです。この背景にはカナダが数多くの移民を受け入れ、多文化主義を掲げていることもあります。こうしたルパージュの手法は、世界中のクリエイターに影響を与えています。ルパージュの作品は、演劇を通して、その国の文化や社会的背景を知ることができるということを教えてくれるのです。


この学問が向いているかも 演劇学、地域文化学

同志社大学
グローバル地域文化学部 グローバル地域文化学科 助教
神崎 舞 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 さまざまなことに好奇心を持ち、挑戦してください。例えば、今まで関心のなかったジャンルの映画を観る、知らない作者の本を読むなど、身近な挑戦が思いがけない出会いにつながります。
 もし、演劇を観たことがなければ、ぜひ劇場に足を運んでください。映画や小説にはないライブ感を味わうことができます。そして、どのような作品でも少なからず社会問題が、海外の作品であればその国の現状が反映されていますから、作品を通して異文化を学ぶ楽しさが味わえると思います。

先生の学問へのきっかけ

 私が最初にひかれた舞台芸術は、宝塚歌劇団でした。きらびやかな宝塚に憧れ、また自らも舞台に立つことや演出にも興味がありました。しかし舞台制作に何度か携わったことで自分のフィールドではないと思い至り、好きなものを研究しようと考えたのです。ルパージュとの出会いは学生時代で、これほど視覚的に楽しめる作品があるのかと、衝撃を受けました。今後はルパージュを入口にカナダの演劇界や地域ごとの特色、また彼の存在がどのような影響を与えているかなど、より視野を広げた研究を継続していきたいです。

大学アイコン
神崎 舞 先生がいらっしゃる
同志社大学に関心を持ったら

 同志社の創立者新島襄は、1864年、日本の将来を憂い、国禁を犯して脱国、欧米で学び、帰国。そして、1875年、京都に前身となる同志社英学校を設立しました。現在、同志社大学の校地は2つあります。今出川校地は同志社大学の誕生の地であり、140年以上にわたる同志社の歴史を感じることができるキャンパスです。キャンパス内の5棟は国の重要文化財に指定されています。京田辺校地は緑豊かな自然に包まれ、79万m2という広大な敷地に最新の施設・設備を有し、現代建築の精緻さを誇る学舎が並んでいます。

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