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講義No.10712

安全で健康な暮らしを守り支えていくための技術

ケガのダメージを様々な方法で予測

 傷害バイオメカニクスとは、交通事故やスポーツ中の事故で人体がどのようなダメージを受けるのかを研究する学問です。例えば、車にはねられた歩行者は頭部にどんな衝撃を受けるのか?柔道できちんと受身をとれば頭頸部の保護にどれほど役立つのか?という問いに対し、即座に正確な答えを提示することは困難です。そこで、コンピュータ上でシミュレーションするほか、人体のダミーモデルを使って実験したり、生体材料に力学的な負荷を加え、どのくらいの強度があるのかを調べたりします。ただし、生体材料には個体差や年齢に由来するバラツキがありますので、何を目的にどう計測するのかを予め検討し、場合によっては試験装置を自作する必要があります。苦労して得られた結果が予想と外れていることや従来の見解と矛盾していることもあるため、その解釈も一苦労ですが、それら全てのプロセスがこの研究のおもしろさでもあります。

軽視されがちなスポーツ中の脳震盪

 交通外傷であるかスポーツ傷害であるかを問わず、頭部に衝撃が加わると頭蓋内の脳組織は変形し、それが神経線維に伝わって脳の損傷を引き起こします。脳の損傷は組織の変形が大きいほど重症化するものと予想されますが、そのダメージは蓄積されるとの報告もあり、近年ではスポーツ中に起こる脳震盪(のうしんとう)のように軽微な脳損傷にも注目が集まっています。

より複雑なシミュレーションも可能に

 現在は計算機性能が飛躍的に向上し、大規模な数値モデルを扱えるようになってきました。中枢神経系組織を例にとれば、単に脳や脊髄のマクロ形状を忠実に再現するだけでなく、個々の組織を細かく区分すると共にその微視的な構造や力学特性を含めてモデルに反映、様々な条件下でシミュレーションすることが可能となりつつあります。将来的には重篤な損傷に限らず、日常生活レベルのケガや疾患を対象として力学的な視点から受傷メカニズムを解明し、更にはその対策に役立つシミュレーションを行うことも可能になっていくことでしょう。


この学問が向いているかも 機械工学、バイオメカニクス、生体工学

鳥取大学
工学部 機械物理系学科 教授
田村 篤敬 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 勉学に限らず、趣味でも運動でも何でもよいので、あなたが本当に好きなこと、没頭できること、夢中になれるものを見つけてください。私は高校、大学と柔道部に所属し、練習に明け暮れました。ただ、好きなことを続けていく上では時に辛いことや苦しい経験をすることもあるでしょう。でも、自分で決めたこと、選んだことであれば、きっと乗り越えられるはずです。一方で、必ずしも好きなことを仕事に直結させる必要もないのではないかと思っています。大事なのは「一生懸命に物事に取り組む」という体験をしておくことではないでしょうか?

先生の学問へのきっかけ

 父親の仕事の影響なのか、幼少時から自分も将来はエンジニアになるものだと思っていました。バイオメカニクスという言葉を初めて知ったのは高校3年の時に見た大学のパンフレットです。医学と工学を組み合わせたような学問があることに、えっ?という軽い衝撃を受けると共に何となく興味を引かれたことを憶えています。ただ、実際に進学したのは航空学科で、本格的にバイオメカニクスの研究を始めたのは大学院からです。卒業後は、民間の研究所で傷害バイオメカニクスという研究テーマに出会い、現在もこの分野で研究に取り組んでいます。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

機械系製造業の技術者、エンジニア(研究、開発、生産管理など)

大学アイコン
田村 篤敬 先生がいらっしゃる
鳥取大学に関心を持ったら

 鳥取大学は、教育研究の理念に「知と実践の融合」を掲げ、高等教育の中核としての大学の役割である、人格形成、能力開発、知識の伝授、知的生産活動、文明・文化の継承と発展等に関する学問を教育・研究し、知識のみに偏重することなく、実践できる能力をつけるように努力しています。また、研究・教育拠点、幅広い専門的職業人の養成、地域の生涯学習機会の拠点、社会貢献機能など個性輝く大学を目ざし、地方大学にこそ求められるオンリーワンの研究開発を行い、社会に貢献し、国際的競争力を確保できる大学運営を目ざしています。

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