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長岡技術科学大学の教員による講義

関心ワード
  • セラミックス、
  • 修復、
  • 材料、
  • サーキュラーエコノミー(循環型経済)、
  • 熱処理

傷ついても自ら修復するセラミックス材料の開発

セラミックスの性質

 セラミックスは、硬くて耐熱性や耐食性(腐りにくい性質)に優れた材料です。一方で、1カ所の小さな傷から簡単に割れてしまうという性質も持っています。そのため、部品の使用中に表面の摩耗による傷が全体の破損につながる懸念があります。さらに、セラミックスは高価な材料であるため、破損による交換の頻度が高ければ、部品材料としての採用は難しくなります。

高温下で自己治癒するセラミックス

 もし傷がついたとしても、材料自らが修復してくれれば好都合です。そんな「自己治癒セラミックス」とは、傷ついた場合、熱処理をすることで修復され、全体の強度に影響をおよぼさないという材料です。セラミックスの中に、酸化しやすい物質を混ぜ込んでおきます。混ぜ込んだものは、常温では酸化しません。傷がついた時に高温で熱すると、混ぜ込んだ物質が酸化物に変化して傷を埋め、全体の強度を保つのです。ヒトの体中にある血小板がかさぶたになって傷をふさぐようなイメージです。
 酸化アルミニウムというセラミックスに金属のニッケルを混ぜ込んだ自己治癒セラミックスの研究が行われています。1200℃の高温で1時間ほど熱することで傷が修復され、再度同じ部分に傷が入っても4~5回は修復が可能です。実用化に向けて、修復できる温度を家庭のオーブントースターで出せる程度の100~200℃にまで下げることをめざして研究が進められています。

サーキュラーエコノミー(循環型経済)に貢献

 自己治癒セラミックスが実用化され、機械部品などに取り入れられれば、完全に壊れる前に部品を熱処理して使い続けることができます。これからの時代は作ったものを長く使うことが大切になりますが、自己治癒セラミックスなら熱するだけなので、メンテナンスや交換の手間や経費も軽減されます。セラミックスのほかにもコンクリートなどでも自己治癒材料が研究されており、このような寿命の長い材料を生み出すことは、「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」への貢献につながります。

この学問が向いているかも 工学、材料システム工学、機械工学


工学部/工学研究科 機械創造工学専攻 教授
南口 誠 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 人生、先はどうなるかわかりません。私も自分が国際学会で発表するような人間になるなど、まったく想像していませんでした。やりたいことがあるなら、まずは挑戦しましょう。新しい知識や経験が増えて、知らなかった自分の一面も見えてきます。もし仮にその道でうまくいかなかったとしても、そこで得た知識や新しい自分があれば、ほかの道も開けてくるものです。
 科学技術の研究は、単に技術の進歩のためだけではなく、環境を改善するなど世の中を良くするものです。私の研究に興味があったら、ぜひ長岡技術科学大学に来てください。

先生の学問へのきっかけ

 父親は機械部品を扱う町工場を営んでいました。工場の中には鋼を削った切りくずがたくさん落ちていたものです。落ちたばかりの切りくずは熱いから触るなと言われながらも、遊び道具として拾っていました。よちよち歩きの頃にそこで転んで切りくずが刺さった傷が今でも膝に残っています。そんな思い出あふれる工場を継ぐために工学の道に入りましたが、いつしか研究に夢中になり、大学に残ることになりました。今は研究だけで無く、若い研究者や教育者の育成も大きな目標の1つとなっています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

製造業技術者/大学教員/研究機関研究者

研究室

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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