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講義No.10688

「真実の発見」という刑事裁判の役割、そしてその「限界」

刑事裁判では何をするのか

 刑事裁判の目的の一つは、真実を発見することです。裁判所は、被告人が本当に犯人なのか、どんな犯罪をおこなったのかを認定します。それではどのようにして「真実」を発見していくのでしょうか。裁判所が証拠に基づいて認定することになりますが、そのやり方は国によって違います。それは「真実とは何か」という問題に対して異なる考え方があるからです。例えば、AとBのどちらの野球チームが強いかをどのように決めればよいでしょうか。AとBの対戦結果で決めるという考え方もありますし、試合ではなく、専門家が守備力や攻撃力のデータから導き出した結論が真実だという考え方もあるでしょう。刑事裁判でも、検察官と被告人側の主張をぶつけ合った結果を重視するやり方と、専門家である裁判官の判断を重視するやり方があるのです。

裁判は打切られることがある

 犯罪が起こると警察が捜査し、証拠を集めます。裁判が必要だと検察官が判断すれば、起訴(公訴提起)をして裁判が始まります。審理の結果、裁判所が判決を下して裁判は終結します。
 しかし、まれに裁判所が裁判を途中で打切る場合があります。刑事訴訟法では、裁判を打切る場合として、時効が成立しているとき、被告人が死亡したとき、公訴の手続に違法があったときなどが定められています。それ以外の場合、裁判を打切る必要は無いのでしょうか。

刑事裁判の「限界」

 刑事裁判は真実を発見し、適正な刑罰を科すことを目的としています。しかし、裁判以外にも専門的な機関が真実を発見する手続があります。例えば、鉄道・航空事故などが起きた場合、運輸安全委員会が事故の原因などを調査します。医療過誤でも医療事故調査制度が設けられました。これらの場合、個人の責任を追及するよりも組織全体のシステムを問題とすべきですし、医療ミスで刑事罰を科されるリスクがあると、医師が治療の際に萎縮することになりかねません。裁判の打切りという手段を含めて、このような場合に刑事司法はどうあるべきかが重要な研究課題となっています。


この学問が向いているかも 法学、刑事訴訟法学

大阪経済法科大学
法学部 法律学科 准教授
岩﨑 正 先生

メッセージ

 高校では教科書に書いてあること、先生が言ったことが「正解」とされます。しかし、大学での「学修」では、「正解」とされていることに対して疑い・批判の目をもつことが求められます。高校で「学習」をするときにも、「本当にその説明でいいのかな」、「ほかの考え方もあるんじゃないかな」という疑問をもってみてください。
 「法学」という学問について、「条文がたくさんあって暗記しなければいけない」というイメージを抱いている人も多いかもしれません。実際には、暗記よりも「論理的・客観的に考える」ことが重視されるのです。

先生の学問へのきっかけ

 父親が警察官だったので、小さい頃から法律、特に犯罪に関わる刑法に興味がありました。大学は法学部に進み、ゼミでは刑法や刑事訴訟法を学びました。ゼミの先生が、刑事訴訟法の論点をさまざまな視点から論理的に説明されるのを聞いて、学問としての刑事訴訟法に魅力を感じました。そこで、研究者と実務家の両方をやってみたいという思いでロースクールに進学し、その後3年間弁護士として働きました。実際の事件でも法的な論点に直面し、それらをより深く考えるために、大学院で博士号を得て、刑事訴訟法を専門として研究しています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

大学院(ロースクール)進学/警察官

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岩﨑 正 先生がいらっしゃる
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 大阪経済法科大学では、学生一人ひとりが目標や進路に応じて経済学・法学の専門知識を体系的・効率的に学ぶことができるよう、コース制を導入。また、他学部科目を最大30単位認定する「経法相互乗り入れ」を実施。経済と法律を組み合わせて学ぶことが可能。さらに難関試験に向けた四年間一貫指導を行う「Sコース」(受講料無料)や、多彩な「資格講座」などを開講。こうした教育システムを活用して、有名・優良企業をはじめ、法科大学院・公務員など多彩な分野に合格者を輩出しています。

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