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講義No.10683

見えない未来を、より現実的に予測する社会シミュレーション

シミュレーションで「見える化」

 物事をコンピュータ・シミュレーションによって「見える化」すると、未来がわかりやすく予測できます。その代表例が天気予報であり、同様に人の動き、社会の動きもシミュレーションによって予測できます。
 例えば、安全な地域をつくるには万全な防災対策が不可欠です。自治体や企業による避難訓練は、数人から数十人規模で実施されますが、現実は何千人、何万人もの人たちを避難させる必要があります。そんな訓練はできませんが、人の動きを人工知能(AI)によってシミュレーションすれば、何が起こるかを知ることができます。

問題・課題をあぶり出す

 大型施設での数千という人の避難や、ある町の浸水被害を想定した何万という人の動きをシミュレーションすると、どこに人が滞るか、何が問題かが見えてきます。施設では、出口や柱の周辺などに人が集まり、「群衆なだれ」の危険性がある場所もわかります。市町村の場合、土地勘のある人とない人で避難ルートが異なることや、予想より避難に時間がかかるといった問題も見えてきます。こうして問題が見えて初めて、安全な避難や誘導のための検討ができるようになるのです。

街づくりにも役立つ

 より実際に近い予測にするため、詳細な人の動きを観測してモデル化し、シミュレーションに取り込みます。そして、「自ら判断して行動するエージェント(主体)」を複数存在させて、その動きを予測したものを、マルチエージェント・シミュレーションといいます。施設や地域の状況、災害の種類によっても起きることは異なります。複雑に絡み合っている要因を融合し、より現実に近い形で「未来を見える化」するのです。今は、VR(仮想空間)を利用して、人の行動を検証することも行われています。
 これは、街づくりや都市開発に応用できます。どこにどんな店を配置すると人の流れがどうなるか、避難とは逆に、人を長く滞在させるにはどうするかという検証もできます。見えていない事象を見えるようにすることが、現実を動かすためのベースとなるのです。


この学問が向いているかも 情報工学、工学

湘南工科大学
工学部 情報工学科 教授
浅野 俊幸 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 想定外の災害がいつ、どこで起きてもおかしくない時代です。私はそうした事態に対応できる、より安心安全な社会をつくるための研究をしています。何千人、何万人もの人たちが安全に避難できるよう検討材料を提示します。問題化する前から課題を発見し、対策を考えることが必要です。
 この研究は、見えない課題や問題に気づき、試行錯誤しながら検証し、自分なりの答えを導き出すトレーニングになります。これは、実社会で活用できるスキルとなるでしょう。興味があるなら、ぜひ一緒に学び、そうした力を身につけてください。

先生の学問へのきっかけ

 大学で生物化学を学んでいた頃、コンピュータの世界では人間の脳を模したニューラルコンピュータが注目され始めました。脳内で何が起きているのかをコンピュータで解析する事に大きな関心を持ち情報科学の世界に進みました。そして、国立研究所にて、スーパーコンピュータを使った地球規模の気象や地震、津波などのシミュレーションに関わりました。地球規模でみているうちに、そこにいる人間にどう影響を与えるのかという、人の動きへの興味が強くなり、今の研究を始めました。より現実に近いシミュレーションができるよう努めています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

ITシステム・エンジニア/電機メーカー・技術者/情報通信産業・技術職ほか

大学アイコン
浅野 俊幸 先生がいらっしゃる
湘南工科大学に関心を持ったら

 湘南工科大学は「社会に貢献する技術者の育成」を大学のミッションに掲げる、1963年創立の工科系大学です。充実したICT環境と設備を備えた、湘南の自然豊かなキャンパスで、工科大学ならではの専門知識と実践的技術を身につけることができます。多くの授業でアクティブラーニングを取り入れており、学生が主体的に授業に参加し、実践を繰り返すことで理解を深めながら成長していく学修スタイルが特徴。また、少人数の担任制度や、きめ細かい就職支援などの各種制度により一人ひとりを手厚くサポートしています。

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