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講義No.10674

見えない空気を可視化 衝撃波の分析で機体の改良点を探る

見えなくても存在する空気の流れ

 火のついたロウソクを複数本並べると、炎が揺れるリズムが徐々にそろう共振反応が起こります。このとき空気は目に見えませんが、数学の計算や画像解析によって可視化できます。例えば「背景指向シュリーレン法(BOS法)」では、温度ごとの空気の密度や光の屈折がわかる特殊なカメラを用いて、かげろうのように揺らめいた景色を撮影できます。これで、共振するロウソク上部の空気が大きくゆがんだ光景が見えるようになります。さらにロウソクに火をつける前後の画像でゆがみの度合いを比較すると、空気の流れや温度などがわかります。

衝撃波を可視化する意義

 空気が音速を超えたときに生じる衝撃波も目に見えませんが、BOS法などで可視化することができます。可視化によって、爆発が起きたときの衝撃波の範囲やエネルギーの大きさがわかれば、頑丈な建物の構造や衝撃波を打ち消す方法を考えられます。
 衝撃波の観測は宇宙開発にも欠かせません。例えば小惑星探査機「はやぶさ」のカプセルが地球に高速で落下するとき、表面は高温になります。カプセルが燃え尽きないよう、空気の流れを予測して温度や負荷に耐えられる構造にするのです。

プラモデルで空気を観測

 航空輸送の高速化のためにも空気の可視化が必要です。空気の流れを計測すれば乗員に影響が出ない機体の形状、衝撃波を打ち消すときに最適な羽根の角度などを考えられます。しかし毎回実機で計測することは難しいので、プラモデルも活用します。人工的に空気の流れを生み出せる風洞という機械に飛行機のプラモデルを固定して衝撃波を当てると、超音速飛行を疑似的に観測できます。このように空気を可視化することで現在検討中の超音速旅客機の実現など、さまざまな産業への貢献に繋がるのです。
 また、流体のエネルギーによって推力を生み出すドローンの開発にもつながってきます。安定して飛行できる機体が開発されることで、将来、防災などに役立つといわれています。

参考資料
1:背景指向シュリーレン法資料

この学問が向いているかも 機械工学、流体力学、物理学

湘南工科大学
工学部 機械工学科 准教授
稲毛 達朗 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 ほかの人が避ける分野には、あなたが輝けるチャンスがあります。あえて飛び込むことで、あなたの価値が高くなるかもしれません。例えば数学を知らなくても生きてはいけますが、数学の知識があれば自然現象を理論的にとらえる手法を思いつけます。
 機械工学は、エネルギーを変換する仕組みを追究する学問です。生活のあらゆる場面でエネルギーが変換されているので、「なぜこうなるのか」という疑問に学びのヒントが詰まっています。興味があるなら、こうした疑問を大切にし、深掘りできるようになりましょう。

先生の学問へのきっかけ

 力学にはさまざまな分野がありますが、中でも流体力学が一番苦手でした。しかし周囲にも得意な人があまりいなかったので、あえて挑戦してみようと思いました。流体力学は勉強すればするほど難しさがわかり、今でも苦手意識を持っています。それでも深みに入っていけばいくほど、知らなければ気に留めないことにも価値を見出せるようになり、研究が楽しくなりました。現在は音速を超えるような非常に速い流体を可視化する研究をメインに、より安価で強度の高いドローンを作るための構造研究などにも取り組んでいます。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

情報、通信企業・開発/自動車企業・製造/空調企業・製造/空調企業・保守/公務員・技術

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稲毛 達朗 先生がいらっしゃる
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 湘南工科大学は「社会に貢献する技術者の育成」を大学のミッションに掲げる、1963年創立の工科系大学です。充実したICT環境と設備を備えた、湘南の自然豊かなキャンパスで、工科大学ならではの専門知識と実践的技術を身につけることができます。多くの授業でアクティブラーニングを取り入れており、学生が主体的に授業に参加し、実践を繰り返すことで理解を深めながら成長していく学修スタイルが特徴。また、少人数の担任制度や、きめ細かい就職支援などの各種制度により一人ひとりを手厚くサポートしています。

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