夢ナビ夢ナビは、さまざまな言葉をデータベースから検索・閲覧し、将来の進路を決める“きっかけ”を提供します。

検索結果一覧へ戻る

講義No.10672

資源管理で人間と水産資源との持続的関係を構築する

サンマはなぜ減った?

 かつてサンマは安く手に入る身近な魚でしたが、だんだん漁獲量が減っています。これは環境の変化が大きく影響しています。日本は魚を生で食べる習慣があるので、鮮度を保つためにサンマ漁は2日程度以内で往復できる距離で実施されます。そのため日本の近くにサンマの密度が濃い漁場がなければ、安定して漁が行えません。水温と漁獲量の関係を調査した結果、日本近海の水温が上がり、冷たい水を好むサンマが別の場所に移動した可能性があることがわかりました。人間による水産資源の持続的利用には、海洋環境の変動に目を向ける必要があります。

適切な漁獲量を考えるために

 水産資源の持続的な利用には、適切な漁獲量も考える必要があります。このときヒントにするのが親の数に対して子がどれくらい生まれるのかを示した「再生産関係」です。漁をしていない場合における親の数を100とし、これを基準に漁が行われているときの親の数を計算し、30を下回らないようにすれば持続的利用が可能とされます。
 さらに、魚などの年齢も必要な情報の一つです。年齢ごとの大きさや数がわかれば、一番価値の高くなる大きさに育つ時期を予測したり、再生産関係維持に適した漁獲量を判断できるからです。魚の年齢はうろこや耳石に刻まれた年輪を数えるとわかります。貝の場合は貝殻断面のシマ模様などから判断します。

漁のルール作りへ生かす

 漁獲量が極端に減少した水産資源を回復させるために休漁した事例もあります。秋田県でハタハタが獲れなくなったとき、漁業者の判断で漁を3年間控えました。その効果をコンピュータシミュレーションで調べると、一時は減少したハタハタの数が年々回復していることがわかりました。ハタハタにとって適した海洋環境に変化しはじめ、休漁の間にハタハタの子が成長し、親となって数を増やしていたからです。
 調査や研究で得られた情報は、漁業従事者や行政機関の意見も取り入れながら漁のルール作りに生かされ、水産資源の持続的利用へと繋がっていくのです。


この学問が向いているかも 水産資源学、生態学、保全生態学

東京海洋大学
海洋資源環境学部 海洋環境科学科 教授
鈴木 直樹 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 あなたが持っている関心を大切にして、将来の選択肢にあまり制限をかけないようにするとよいでしょう。どんなことでも挑戦してみれば、うまくいくかもしれませんし、取り組むうちにおもしろさを感じるテーマが見つかるかもしれません。
 私自身、高校時代はまさか大学で研究者として働くことになるとは思っておらず、数学や統計で生物を扱うということに向き合い続けるうちに研究の道を選んでいました。先のことは誰にもわからないのです。進路選びでは広い視野を持ち、自分自身の興味をあきらめないでほしいです。

先生の学問へのきっかけ

 生物も数学も好きだったので、両方を学べる大学を選びました。水産資源の管理について知ったのは大学での授業がきっかけです。特に数学を使って水産資源の解析や管理をしている先生の研究に興味を引かれました。数学のモデルや考え方が応用できる場があると知り、自分も取り組んでみたいと思ったからです。魚や漁業を理解し、計算結果がうまく出るように手法を組み立てる過程におもしろさを感じています。また、学生とのディスカッションでは自分でも気づかなかった視点が見つかるので、毎日刺激を受けています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

国家公務員/地方自治体公務員/国立研究機関研究員/食品総合商社営業/食品会社営業/IT産業営業・SE/環境アセスメント会社研究員

大学アイコン
鈴木 直樹 先生がいらっしゃる
東京海洋大学に関心を持ったら

 東京海洋大学は、全国で唯一の海洋にかかわる専門大学です。2大学の統合により新しい学問領域を広げ、海を中心とした最先端の研究を行っています。海洋の活用・保全に係る科学技術の向上に資するため、海洋を巡る理学的・工学的・農学的・社会科学的・人文科学的諸科学を教授するとともに、これらに係わる諸技術の開発に必要な基礎的・応用的教育研究を行うことを理念に掲げています。

TOPへもどる