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東京海洋大学の教員による講義

関心ワード
  • 超伝導(超電導)、
  • 永久磁石、
  • エネルギー、
  • パワーエレクトロニクス、
  • 電気推進、
  • 温室効果ガス、
  • 磁場、
  • 電気抵抗、
  • 電流、
  • 発電、
  • 船舶

一瞬の電流で超伝導の永久磁石を作る

超伝導を利用した永久磁石

 電気抵抗による熱の発生は、エネルギーの無駄な放出です。超伝導の状態では電気抵抗がゼロになるため、熱損失がなくなり非常に大きなエネルギーを取り扱うことができます。この原理を利用して、超伝導物質を使った永久磁石が作られています。現在、通常の永久磁石の最高性能は1.5テスラという強さですが、超伝導物質の永久磁石の世界記録は17.6テスラを記録しています。

コストの問題を打破する技術

 普通の永久磁石と同様に、超伝導永久磁石は焼き固めた材料に電磁コイルを近づけて電流を流し、発生した磁場で着磁して作ります。しかし強力な永久磁石を作るために大きな電流を流すと、電気抵抗で熱が発生して電磁コイルが溶けてしまいます。超伝導物質を使った電磁コイルならば溶けませんが、超伝導物質はまだまだ高額であることに加え、-200℃以下の極低温に冷却しなければならないので、装置も高額で複雑な構造になるため実用的ではありません。
 そこで普通の銅のコイルを使い、コイルが溶けない一瞬だけ過大な電流を流して材料に着磁する方法が開発されました。超伝導電磁コイルを使う方法で2時間かける着磁を、ごく短時間に終わらせる方法にはどうしても無理があり、超伝導永久磁石に強い磁場を上手く帯びさせることができません。そこで、パワーエレクトロニクス技術で電流の波形を変え、超伝導材料が受け止めやすく磁場を与える技術が生み出されました。2時間かけて着磁した磁場の強さを100%とした場合、この方法ではわずか2秒で96%の磁場が着磁されます。

温室効果ガスゼロをめざして

 性能の高い永久磁石は船舶の推進器や電力の発電への応用が考えられています。例えば国際海事機関では今世紀末までに国際海運からの温室効果ガスの排出量ゼロをめざしており、そのための効率のよい電気推進には超伝導の利用が有効です。超伝導には強磁場・極低温が必要ですが、先端技術を使いやすく一般化していくことも基礎研究の使命です。こうした基礎研究が次世代の社会を豊かにするのです。

この学問が向いているかも 超伝導工学、エネルギー工学、電子工学


海洋資源環境学部 海洋資源エネルギー学科 教授
井田 徹哉 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 研究は新しい発見や試みを実現することに醍醐味(だいごみ)があります。技術が発展した現代では、研究に関わらず何であれ求められるレベルが非常に高く、往々にして失敗が許されません。研究者はそんな中でも社会的・学術的に意義のある、価値が高い課題を見つけて、失敗を重ねつつ楽しみながら追求する仕事です。
 大学は研究を通じて教育をする機関であり、学生に社会的・学術的価値の高い課題へ真剣に取り組むチャンスを与えてくれます。研究はその取り組みを通じて楽しさが感じられるようになるものです。まずは挑戦してみましょう。

先生の学問へのきっかけ

 少年の頃から私は電子回路工作が大好きで、いままでにさまざまな機器を自分のために作ってきました。趣味は楽しくても、その価値は自分自身だけのものです。自分の好みで深く追求することも、手を抜くことも選べます。しかし、大学では社会的・学術的に意義がある、つまり他者に認められる価値の高い課題を追求して楽しんでいる先生に惹かれて物性物理学の研究室を選択しました。私はそこで、自分の趣味を通じて培ったモノづくりの能力を使って新しい実験装置を作り出し、ほかの研究者には真似のできない新しい研究課題に取り組んでいます。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

電気機器製造会社エンジニア/機械製造会社エンジニア/輸送用機器製造会社エンジニア/精密機器会社エンジニア/非鉄金属製造会社エンジニア/半導体製造会社エンジニア/真空装置設計会社エンジニア

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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