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講義No.10666

誰もが生きやすい社会を作るために

無関心が偏見を助長する

 精神障がい者や発達障がい者、性的マイノリティ、依存症やホームレスなど、社会的マイノリティ(少数派)は社会の中で理解を得られず、不利益や生きづらさを経験していることがあります。しかしマジョリティ(多数派)の多くは、こうした苦しい立場にある人たちの存在にほとんど気づいていません。
 周囲の大学生に聞いてみると、大半が「学校でも生活圏の中でも社会的マイノリティに会ったことがない」と答えています。当事者がオープンにしていない場合もありますが、周りの人が関心を持たずに見えない存在になっている可能性もあります。そして実体との交流もないまま、偏見だけが助長されていくのです。

「対話」が育む関心の芽

 無関心を関心に変え、偏見を解消する方法として注目されているのが「対話」です。特に若い世代が、社会的に生きづらい環境に置かれている人との対話を通して、関心の芽を育むことが期待されています。実際に行われた実験では、精神障がい者などの社会的マイノリティとの対話を通して、お互いに身近さや親密さを感じ、自らの無知や勘違いに気づいたと報告されています。関心をより深めるためには、対話が1回だけで終わらないよう、継続的かつ日常的な設定と、効果的な情報発信が必要です。また、こうした対話の場面では当事者の話を聞くだけになりがちなので、相互に交流できる対話の仕組み作りが今後の課題です。

「無関心の壁」に穴を開けよう!

 社会的マイノリティの存在を見えにくくしている背景には、社会的理解の不足から支援制度が十分に整備・活用されていない現状があります。いろいろな能力を持っているのに、周囲の理解不足から能力を発揮する機会がなく、結果的に排除されている人も多いのです。教育や就労の現場における合理的配慮や、継続して働ける雇用の仕組みなど、支援体制の整備が求められています。それは社会的理解の促進にもつながります。厚くて高い「無関心の壁」に穴を開け、誰もが生きやすい社会を作る取り組みは、まだ始まったばかりです。


この学問が向いているかも 社会福祉学

高知県立大学
社会福祉学部 社会福祉学科 助教
玉利 麻紀 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 社会の中には、なんらかの困難を抱え、生きづらさを感じている人たちがいます。「そんな人は自分の身近にはいない」と思っているなら、それはあなたが無関心だからかもしれません。
 社会的マイノリティと呼ばれる方たちに関心を持って、一緒に過ごしたり話をしたりする機会を作りましょう。あなた自身の判断軸の小ささや、知っている世界の狭さを感じ取るきっかけになるはずです。本や動画から学ぶことも、人と会って体で感じることも大事です。それに気づくことができたら、あなたの世界はどんどん広がり、魅力的になっていくでしょう。

先生の学問へのきっかけ

 大学院で学びながら精神障がい者の就労支援に携わっていたとき、附属池田小の事件が起きました。犯人が逮捕時に精神障がい者を装ったことで、何の関係もない精神障がい者がバッシングを受けました。自らを責め、体調を崩す人が続出し、偏見や排除の恐ろしさを目の当たりにしました。それが、偏見や排除を研究テーマに設定したきっかけです。障がい者に限らず、社会的マイノリティに対する支援や配慮のなさが、本人たちのチャンスも、社会全体のチャンスも奪っています。偏見や排除のない社会をめざし、今後も取り組んでいきます。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

精神保健福祉士(病院・福祉施設)/社会福祉士

大学アイコン
玉利 麻紀 先生がいらっしゃる
高知県立大学に関心を持ったら

 高知県立大学は、文化学部、看護学部、社会福祉学部、健康栄養学部の4学部で構成しています。高知県は全国と比較して、高齢化で10年、人口減少で15年も先行しています。少子高齢化社会や南海トラフ地震対策など山積する課題を乗り越えて、未来の社会をどう形成するかに、学生と教職員は真剣に取り組んでいます。全学生が地域で活動し、地域の人々とともに学びあう教育に力を入れており、卒業後には、学部で身につけた専門知識を生かして地域で活躍できる人材となることをめざしています。

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