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講義No.10657

マンガで感情を表現する「劇画」を開拓した辰巳ヨシヒロ

辰巳ヨシヒロを知っていますか?

 辰巳ヨシヒロ(1935~2015)は漫画家で、終戦のときは小学生でした。手塚治虫の影響を受け、10代でマンガを描くようになりました。彼は、「劇画」という名称を初めて使ったことで知られています。劇画の定義についてはさまざまな議論がありますが、辰巳の作品は、さいとう・たかをの『ゴルゴ13』のようなスナイパーが出てくるハードボイルドな作品とは、イメージが違います。彼のマンガの主眼は主人公の感情表現です。文学的な内容で、文学や映画の影響を受けた作品もあります。

庶民の感情を表現する劇画

 彼が主に活躍したのは貸本が中心だった1950年代からと、雑誌掲載を主とした1970年代以降です。登場する人物の多くは庶民で、どちらかと言えば社会の底辺層にいる人々でした。感情表現の中心にあるのは、「よるべのなさ」です。よりどころがない、つまり希望はあるのになかなか実現できない諦め、できないことによる迷いなど心の葛藤を描きました。
 表現手法においても工夫があります。例えば、階段を上がるシーンでさまざまなアングルを使ってコマ割りすることで、ゆっくりとした時間の流れを表現しています。この逆もあります。これを「コマと時間のシンクロ」と呼び、ゆっくりとした時間の場合はセリフを最小限にすることで、読者に感情を想像させました。彼はこのような感情表現にあふれた劇画をめざしていたと考えられます。

海外で人気、日本では異彩を放つ存在

 辰巳の作品は、貸本時代は労働者によく読まれたとも言われています。1970年代には雑誌に作品が多く掲載されましたが、少年が読者層でなかったため、単行本ではあまり売れず経済的には成功しませんでした。しかし、フランスを中心に海外での人気が高く、アングレーム国際漫画祭特別賞など数々の受賞歴があります。日本でも、つげ義春などが影響を受けています。日本の漫画史のなかで、異彩を放つ存在なのです。


この学問が向いているかも 哲学、社会学

九州国際大学
現代ビジネス学部 国際社会学科 教授
松井 貴英 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 あなたは、自分は敷かれたレールの上を歩いていて、そこから外れることはできないと考えているかもしれません。しかし、そんなことはありません。そこから飛び出すことは、誰にでも可能です。そのためには、自分の感性のアンテナを高く、広く張って、そこに引っ掛かったものは小さなものであっても、関心をもって掘り下げてみることが重要です。
 そして、自分がやりたいことが見つかったら、たとえ周囲の反対があったとしても先に突き進みましょう。あなたもぜひ、できることより、やりたいことをめざしてください。

先生の学問へのきっかけ

 高校の現代文の授業で哲学を知りました。中村雄二郎という哲学者の本を読む機会があり、先生は難解だと言ったその文章が、私にはとてもわかりやすく、内容にも引き込まれました。自分も思索を深めたいと思い、大学では哲学を専攻。さまざまな哲学書を読みましたが、最もフィットしたのが、古代ギリシアのプラトンでした。自分が探求する姿勢とプラトンの知識を求める姿勢が合ったのだと思います。根底には、上昇したくてもなかなかうまくいかない人間への興味があります。辰巳ヨシヒロへの関心も、そのためかもしれません。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

教諭(小中学校)

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松井 貴英 先生がいらっしゃる
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 九州国際大学は、法学部法律学科、現代ビジネス学部地域経済学科/国際社会学科、大学院法学研究科の2学部3学科・大学院から構成される文系大学です。
 『グローバルな視点を持ちつつ、ローカルな立場で行動できる人材。未来社会を生き抜く力を本気で鍛える大学。』として、地域の方々や企業との連携を密にして、生きた勉学を経験してもらい、地域社会の発展に貢献する人材の輩出、国際的視野を備えた人材教育を行っております。

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