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講義No.10637

問題行動解消のための「ポジティブ行動支援」

行動と環境の関係性を考える

 私たちの行動は、その人の持っている特徴だけで決まるのではなく、常にその場の環境との相互作用によって生まれます。自傷行為や不登校など一般的に問題とされてしまうことも、その時の環境にその人なりに適応しようとした姿なのです。ですから、問題を「やってはいけないこと」ととらえて単純にやめさせるだけでは、その人を追い詰めるだけになってしまう可能性があります。

行動の前後にあるもの

 心理学的支援では、問題とみなされる行動の前後に着目します。行動の前にあるものはその行動を引き起こしたきっかけです。これを改善することをまず考えますが、実際には難しい場合もあります。次に、行動が繰り返される場合、その人はその行動によって重要な結果を得ているのではないかと考えます。例えば、リストカットが自分が苦しさに耐えるための対処方法になっていたり、不登校の子どもは学校以外の居場所にいることで自分を守っていたりします。これらの「対処」は、他者からどう見えようとも、その人の世界では大切なことなのです。
 「応用行動分析」や「認知行動療法」では、上記のような前提をもった上で本人と会話して、どのようにこれから過ごしていくかを一緒に考えます。

行動を置き換える

 自傷行為を考えると、例えば「痛み」という身体感覚に意識を集中させることで頭の中の混乱状態から逃れようと、そうやって自分を守っているとします。この場合、手がジンジンと痛むような古い鉄の握力計を思い切り握ったり、タオルをギューっとねじったりして、本人が傷つかない、でももとの行動の要素が含まれた安全な行為を試してみたりします。あるいは、考え事が邪魔できる程度の運動や没頭できる軽作業などによって、頭の中の混乱から上手に離れるようになることをめざしたりします。家や学校など日常の場面ごとに行動を提案し、実践と振り返りを繰り返しながら、うまく生活が送れることをめざします。もちろん、成長する中で自分でうまく対処したり考えることもできるようになっていきます。


この学問が向いているかも 学校教育学、臨床心理学、心理学

上越教育大学
学校教育学部 学校教育研究科 助教
宮崎 球一 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 もしも、あなたが自分自身を認められないような態度を取ってしまうことがあっても、それには自分を守っているという意味があると考えてください。「本当はこんな自分じゃないのに」と否定したくなるような行動でも、それはその時の環境に、自分なりに適応しようとした姿だと心理学では考えます。嫌いな自分は、その時になんとか頑張った自分なのです。
 そしてあなたが、将来教師になろうと思ったら、ぜひ上越教育大学で教育学や心理学を勉強して、同じような思いを抱える子どもたちに寄り添える人になってください。

先生の学問へのきっかけ

 本を読むのが好きな高校生でした。私の場合は大学に進学する際にはっきりとした目的意識はありませんでしたが、心理学か文学が自分が好きなことと近いとなんとなく考え、大学に進学しました。心理学科に入学し、記憶や認知などを中心とした基礎心理学を勉強し、臨床心理学の中で基礎的な心理学が生かせる認知行動療法と応用行動分析を中心に学べる大学院に進みました。現在はその考え方に基づいた「認知行動療法」や「ポジティブ行動支援」の研究とともに、スクールカウンセラーとして心理臨床の活動をしています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

スクールカウンセラー/医療機関心理職/福祉施設心理職/公務員(心理職)/教諭(小中学校)

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宮崎 球一 先生がいらっしゃる
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 上越教育大学は、人間的な視野と総合的視野に立ち、21世紀の教育を担う中核的指導的な教員の養成をめざしています。トップクラスの教員採用率を誇り、全国各地から学生が集まっています。これからも教員の育成と現職教員の研鑽の場を提供していくことは不変です。そして教育は子どもの心を豊かに育て、国を支えます。

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