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講義No.10633

「はやぶさ2」のロケット開発 ~宇宙大航海時代の最前線~

「はやぶさ2」を成功させた電気推進ロケット

 太陽系形成の謎を探る調査に旅立った小惑星探査機「はやぶさ2」は、2020年12月、小惑星の物質が入ったカプセルの回収を大成功させました。現在はさらなるミッションに向け、宇宙を旅しています。その飛行に使われているのが電気推進ロケットである「イオンエンジン」です。これまでロケットといえば熱エネルギーを利用する化学エンジンが主役でしたが、「はやぶさ2」の成功により世界中が電気推進ロケットに注目しています。

宇宙空間だから生きる仕組み

 電気推進ロケットは主に太陽電池によって太陽光を推進エネルギーに変換するもので、化学ロケットより推進力は小さいですがはるかに低燃費です。そのため推進剤の代わりにたくさんの装置を積むことができます。地上からの打ち上げには向きませんが宇宙空間で使用するエンジンとしては非常に優れているのです。
 ただ、現在国際協力のもとで構想が進む有人火星探査、月面基地や太陽発電衛星の建造、小惑星捕獲といった大型ミッションを電気推進ロケットで遂行するには、大出力のエンジン開発が必要です。

遠くない未来のために

 そもそも宇宙は地上と異なり、機材が一度その場に置かれるとメンテナンスがほとんどできません。さらに激しい熱サイクル、高真空、高エネルギー放射線やプラズマ放射などの過酷な環境下で安定作動し、軽量かつ簡単・高効率な構造が要求されます。そうした中で大型衛星・探査機などを電気で推進させるべく、「はやぶさ」「はやぶさ2」で用いられた静電加速型のイオンエンジンのほか、電熱型の直流アークジェットエンジン、電磁加速型の電磁加速プラズマエンジンなど、加速機構の異なる多様な電気推進ロケットの開発が進められています。
 2027年と2028年、「はやぶさ2」が再び地球スイングバイ(地球の重力を利用して軌道と速度を変えること)を実施します。その頃、人類の宇宙利用は大きく進展しているでしょう。人が宇宙を旅行し、太陽系そのものを生存圏とする時代も夢物語ではないのです。

参考資料
1:宇宙推進ロケット工学研究室紹介
2:太陽系宇宙開発プロジェクト紹介

この学問が向いているかも 航空宇宙工学、ロケット工学

大阪産業大学
工学部 機械工学科 教授
田原 弘一 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 小惑星探査機「はやぶさ」のイオンエンジンに、私も共同開発という形で参画しました。現在、大阪産業大学には国内最大規模の実験装置があり、日々ロケットの研究を行っています。これからは、人類が宇宙へ飛び出し、「地球を知らない子どもたち」が活躍する時代もやってくるでしょう。
 現在、電気ロケットであるイオンエンジンにはキセノンガスが最適とされますが、地球の物質を使わず、その星で調達できるものを使った、未知の原理の新たなエンジンの開発も求められます。遠くない未来に向け、ぜひ一緒に宇宙開発の最先端に挑みましょう!

先生の学問へのきっかけ

 中学生の時に見たアニメ『宇宙戦艦ヤマト』から強烈な影響を受けました。私と同世代で同じように宇宙に興味を持った人は多いでしょう。宇宙を自由に飛べる宇宙船を作りたい、宇宙開発に携わりたいと思い、大学でロケットエンジンの研究を選びました。その頃には既に電気推進ロケットエンジンは存在しており、素晴らしい性能も示していたのですが、実績がなく、なかなか採用されませんでした。しかし「はやぶさ」でついに世界に認められたという思いがあります。子どもの頃に憧れた技術開発を今も楽しんでいるのです。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

航空宇宙産業・宇宙開発メーカー、技術研究者・プロジェクトマネージャー/機械電気メーカー技術研究者/宇宙航空研究開発機構(JAXA)技術研究員/教員(大学(宇宙工学専攻))

研究室
大学アイコン
田原 弘一 先生がいらっしゃる
大阪産業大学に関心を持ったら

 大阪産業大学機械工学科は、なんで機械工学科に入学したの?と学生に尋ねると、「モノづくりに興味があったから!」と多くの学生が答えてくれる、楽しそうな・面白そうな雰囲気のあるところです。
 機械工学の基礎である「力学」の教育に重点を置く一方で、今後成長の見込める医療・福祉・健康といったヘルスケア分野や、ロボット工学、宇宙工学といった先進的な領域も取り入れた授業も用意されています。創造的で発想力のある感性豊かなエンジニアの育成を教員一丸となって取り組んでいます。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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