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講義No.10630

菌が作り出す伝統的な発酵食品

微生物を使って発酵食品を作り上げた先人の知恵

 乳酸菌、酵母、カビなどの微生物の力を使って作り上げられる数々の発酵食品。これらは、先人たちの食品製造に対する情熱とともに長い歴史の中でさまざまな製法が編み出され、独特な味わいを持つ数々の食品に仕上がったものです。例えば、日本では醤油や味噌などの多くの発酵食品に麹(こうじ)菌が使われています。麹菌は、アスペルギルス属の1種類のカビを純粋培養したものです。麹は日本だけでなくアジアの広い地域で食品に使われますが、その菌を調べてみると、日本とは違って複数種の菌が混ざっているものが多く菌の種類も違います。もし、日本酒に他の国の麹を使ったら、伝統的な日本酒と同じ味にはならないでしょう。日本の菌と技術を使うからこそ伝統の味となるのです。世界各地の伝統発酵食品にはそれぞれの技術の粋が集められています。

四季を利用した発酵の調整

 魚を発酵させてつくる調味料は「魚醤(ぎょしょう)」と呼ばれ、日本では石川県の「いしる」、秋田県の「しょっつる」などがあり、東南アジアにはタイの「ナンプラー」、ベトナムの「ニョクマム」などがあります。これらの味の差は仕込み方法や環境も関係すると考えられます。例えば、「いしる」の仕込みは腐敗の起こりやすい夏を避けて、秋口や春先などの気温が低い時期に行います。四季を巧みに利用して発酵を制御しながら作り上げるのが日本の伝統製法の特徴で、日本酒や「いずし」の仕込みにもみられる特徴です。

伝統食を科学で検証

 発酵食品は冷蔵庫のなかった昔の人が食べ物をおいしく保存する知恵でもあり、紀元前5000~6000年頃にはすでにヨーグルトやお酒を生み出していました。実際に見ることの出来ない微生物を操り、適切な製造法を確立してきたのです。
 現在では、それらの発酵食品に生育する菌を特定するなどの科学的な検証が行われています。多くの伝統食において菌と製法の組み合わせが最も合理的なものになっていることがわかっており、昔の人の洗練された技術に驚かされるばかりです。


この学問が向いているかも 食品科学、食品微生物学

石川県立大学
生物資源環境学部 食品科学科 准教授
小栁 喬 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 まず、この世界に自分が生かされていることを喜びましょう。自分がこの場所に存在しているということ自体が幸運なことです。その中で出会うものに対しては、リラックスして受け止め楽しむというスタンスでいればよいのです。
 自分が出会うものを素直に受け止めて、面白いなと思ったらそちらに進んでみる。面白いなと思える自分を好きになってあげる。もし進んでみた中にとことん探究したいと思えるものがあるのなら、あなたは研究者に向いているかもしれません。これから出会うものを素直に受け止めてみましょう。

先生の学問へのきっかけ

 高校の時は、天文の謎を解き明かす物理学に憧れていました。ある模擬試験で、余った志望校欄に書いた難関大学の農学部によい判定が出ました。それなら受けてみろと担任から言われ、受験したところ合格し、特に興味のなかった農学部に進学しました。それでも生物学の授業で菌について学び、微生物が作り出す食べ物の面白さを知りました。その後、同級生に影響されて大学院に進み、先輩に言われて研究者の道に至ります。節目はいつも人の言葉に流されているようですが、そうして与えられた場に全力で取り組んできました。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

食品製造会社 / 発酵食品製造会社 / 公務員 / 化学製品製造会社 / その他多業種の企業

大学アイコン
小栁 喬 先生がいらっしゃる
石川県立大学に関心を持ったら

 人間の暮らしの根幹を支えている農業生産。その基盤となる自然環境。そして食べるということ。そうした人と自然との関わりをしっかりと見つめ、未来へ生かしていこうとすること。そんな思いを実現するために、本学では少人数制での指導体制(卒業研究指導時、教員1人に対し学生3人以下)を取っています。結果、就職率100%、官公庁就職率25%(2020年3月卒業生)という実績を上げており、地域社会のニーズに応えられるよう努めています。「住みよさランキング2020」全国1位の「ののいち」で私たちと一緒に学びませんか。

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