夢ナビ夢ナビは、さまざまな言葉をデータベースから検索・閲覧し、将来の進路を決める“きっかけ”を提供します。

検索結果一覧へ戻る

講義No.10628

針先の超音波から診断画像を作り出せ!

診断に欠かせない超音波

 人間が聴くことのできない高い周波数の音を超音波といいます。超音波による診断は、現代の医療には欠かせません。体内の画像化技術にはX線写真、X線CT、MRIなどもありますが、超音波は、生体の動きを実時間観測できる唯一のモダリティであり、また被曝の心配がなく、機器が比較的安価などのメリットから、小規模な診療所などでも使われています。
 超音波診断装置は一般に、体表から体内に音波を発し、跳ね返ってきたエコーデータを受け取って処理することにより、超音波画像を作り出します。そのため、同じエコーデータを採取しても、処理の仕方により画像の質は異なります。

針で刺すだけで診断したい

 腹部など広い範囲をみる超音波装置のプローブは、超音波を発する振動子100~200個をアレイ状に並べたものです。それに対し「穿刺(せんし)型超音波顕微鏡」は、振動子を1個だけ針先につけて患部に刺し入れ、細胞レベルの超音波画像を撮ります。現状のがんの確定診断では、病変部の細胞を摘出して薬剤で染色することでがん細胞の有無を調べます。しかし、穿刺型超音波顕微鏡では針を刺すだけなので、患者の身体的負担が少なく、その場で診断結果が得られます。また、超音波での診断では、硬い、粘性がある、弾性があるなどの音響的特徴に関する情報も得られるため、今まで判断できなかった疾患も調べられる可能性があるのです。

超音波の進歩による未来の医療

 ただし、振動子1個だけで発振した場合、通常の方法では音波が広がってしまい空間分解能が得られません。そのため、送信波形や周波数を変えるなどの工夫とともに、限られたデータから精細な画像を得るための研究が進められています。こうした送受信の方式と信号処理の技術がさらに進めば、将来には簡易な機器で得られたデータをスマートフォンで画像化して病院に送信するといった、在宅での手軽な健康診断が実現するかもしれません。

参考資料
1:超音波で病気を診る~超音波エコー法の原理と実際~

この学問が向いているかも 電気電子工学、情報工学、医用生体工学

東京都立大学(旧・首都大学東京)
システムデザイン学部 電子情報システム工学科 教授
田川 憲男 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 勉強をしていると、テストで点数を取ることに必死になってしまうことがあります。でも、勉強は「納得」して「理解」する(腑に落ちたと感じる)ことが一番大切です。これがおろそかなままでは、後々苦労しかねません。意味や理屈をしっかりと体得するために、わからないことはきちんと調べましょう。わからないのが悔しいと思うようになれば、自然と興味が湧いてきます。
 興味が湧いて好きになれば、より深く理解できるはずです。せっかく勉強に時間をかけるのですから、大学生になっても、社会人になっても使える知識を身につけましょう。

先生の学問へのきっかけ

 高校時代は物理が好きだったのですが、担任の先生から「これからは電気だ」と助言されて電気工学科に入学。そこで電波の分野に興味を感じて、レーダーの研究に進みました。レーダーは電波を送受信して画像化し、船や飛行機、雨雲などを可視化する技術です。その後、企業でのコンピュータビジョンの研究を経て、現在は医用超音波の研究をしています。電波と音波の違いはありますが、波を扱うという意味では共通します。高校の先生の助言で進んだ電気工学の延長上で、音波の伝搬・反射に関わる物理の理論を使って研究ができています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

医療機器メーカ研究開発員/通信サービス会社研究員/情報システム技術者

大学アイコン
田川 憲男 先生がいらっしゃる
東京都立大学(旧・首都大学東京)に関心を持ったら

 東京都立大学は「大都市における人間社会の理想像の追求」を使命とし、東京都が設置している公立の総合大学です。人文社会学部、法学部、経済経営学部、理学部、都市環境学部、システムデザイン学部、健康福祉学部の7学部23学科で広範な学問領域を網羅。学部、領域を越え自由に学ぶカリキュラムやインターンシップなどの特色あるプログラムや、各分野の高度な専門教育が、充実した環境の中で受けられます。

TOPへもどる