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講義No.10627

倉敷における歴史を活かしたまちづくりのあり方

倉敷の町並み保存地区

 岡山県倉敷市には、町並み保存地区があります。もともと瀬戸内海の浅い海に島が浮かんでいたところが、江戸時代に干拓され、物流のために通された運河沿いに蔵や町家が建ち並びました。倉敷の人たちはこうした歴史ある建物や町並みを大切に守ってきました。1968年に市が条例をつくり、その後に国の保存地区にも選定されました。倉敷は、日本国内でも歴史的な景観を生かしたまちづくりの代表的な例として知られています。

歴史的都市景観を活かしたまちづくり

 倉敷は観光地として注目されていますが、同時にこの地域には多くの住民が暮らし、日常生活を営んでいます。「オーバーツーリズム」といって、観光客が増えすぎたために地元住民が騒音や渋滞に悩んだり、観光客向けのお店ばかりになって日常的な買い物がしにくくなったりする、といった問題もあります。また、町並み保存と都市開発の問題もあります。そのような問題は世界中で起こっていて、2011年、ユネスコは都市における歴史的景観を保全するため「歴史的都市景観に関する勧告」を採択し、世界中の都市まちづくりの指針として発信しました。

求められる若い世代の力

 建築学の中には、建築史意匠学や歴史的環境デザイン論という分野があります。古い地図や写真をもとにその街の形の変遷を調べ、建物の歴史的な特徴を解き明かしていきます。また、建物や街の周辺にある暮らしも研究の対象です。これからの人間生活について、生活環境の視点から考えていく分野です。
 倉敷においても、古くから暮らす住人へのヒアリングを通して、この地域が守ってきた景観や、地域で大切にされてきた価値観、現在の課題などが明らかになってきます。現状では、町並み保全のために動いているのは年配の方々が中心です。若い世代が歴史的な地域資源の価値を理解して継承しなければ、いつか古い建物や町並みは壊され、無個性な街になってしまうかもしれません。世代間継承を進め、まちづくりに参加する若者を増やすことも、歴史的景観保全の重要なプロセスなのです。


この学問が向いているかも 生活環境学、歴史的環境デザイン論

ノートルダム清心女子大学
人間生活学部 人間生活学科 准教授
成清 仁士 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 身近な地域ほど、見えにくいもの。でも、旅するような気持ちで、あなたが暮らす地域の日常に意識を向けてほしいと思います。例えば年中行事に参加したり、伝統文化や芸能を体験したり、地域づくりの取り組みに参加したりする中で、地域の良さを再発見することもあるでしょう。また、上の世代の方に話を聞いてみると、歴史的な変遷も理解できると思います。
 こうした体験は、大学に入って専門分野に進むうえでも、大切な土台になると思います。ぜひ地元に暮らす若いうちに体験しておいてほしいです。

先生の学問へのきっかけ

 私は小学生の頃を岡山県の山間部で過ごしました。祖母の家で暮らし、伝統芸能を学ぶなど、当時から「地域に育てられている」という感覚がありました。大学では工学部建築学科に進みましたが、都市や集落、そこでの暮らしに関心を抱くようになったのは、そのような体験があったからだと思います。また、安藤忠雄氏の「旅こそ最大の教師である」という言葉に感銘を受け、瀬戸内海の島々を巡ったことも、研究者としてのルーツになっていると思います。現在は倉敷市の歴史的都市景観をテーマに、倉敷の街の変遷や未来について研究しています。

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成清 仁士 先生がいらっしゃる
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 本学は1949年に中四国で最初の4年制女子大学のひとつとして岡山県に創立され、これまで一貫して女子高等教育に取り組んできました。キリスト教精神に基づき、平和でよりよい世界へ貢献できる女性を育成する、リベラル・アーツ・カレッジです。専門的な学びをそれぞれの人生の課題に結びつけ、豊かな知性と社会へのまなざしをそなえた「真の自由人」への成長を促す教育プログラムを整備しています。

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