夢ナビ 夢ナビ

検索結果一覧へ戻る

講義No.10601

「ありがとう」がつくる子どもの居場所~保育における共同体感覚~

共同体感覚とは

 人間は、人格形成において極めて重要な幼少期に、周囲から温かい愛情をたくさん受けることで自分の居場所を見出し、力強く生きていく意欲も養うことができます。しかし幼少期に家庭内で虐待を受けたり、DVを日常的に目にしたりするような環境で育った子どもは、自分を愛することができず、そして他者も受け入れることができず、家庭や社会に自分の居場所を見つけることが難しくなります。心理学者A・アドラーは、ありのままの自分、そして他者を受け入れ、自分が社会の中の一員であると実感できる感覚を「共同体感覚」といいました。近年、保育学の分野でこの「共同体感覚」を養うために、ある研究が行われました。

赤ちゃん人形を育てる

 その研究とは、ある保育園の年長児クラス全員で赤ちゃん人形を1年間育てるというものです。感情をもたない人形であっても、園児たちは「自分たちがお世話をしないと赤ちゃんが生きていけない」と考え、おむつを替えたり、散歩をさせたり、ミルクを飲ませたりといったお世話を続けました。「人形を育てる」という経験にはさまざまな効果がありますが、最も重要な点は、お世話をした園児が周囲から「ありがとう」と言葉をかけられることです。これによって子どもたちが「自分は誰かの役に立っている」「自分は必要とされている」「自分はここにいてもいいんだ」と思える、つまり共同体感覚をもつことができるようになるのです。

自分や他者を受け入れる力

 この研究に参加した園児の保護者や保育者は、この1年間で子どもたちが「自分の意見をしっかりと言えるようになった」「自己肯定感が高まった」と実感しています。今後、研究の規模や内容を見直すことで、より公正なデータが得られることが期待されます。
 保育や福祉の現場では、さまざまな課題があり、集団生活が難しい子どもは専門機関で個別対応することが一般的です。しかし保育の集団生活の中でも、自分や他者を受け入れる力を育むことは可能です。そしてそのための方法論を構築していくことも、保育学の大きな意義なのです。


この学問が向いているかも 保育学、保育実践学、人間科学、教育学

梅光学院大学
子ども学部 子ども未来学科 講師
田中 ミサ 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 保育の現場では、多くの子どもたちと接することになります。その中に、これまで接したことのない人格をもつ子どもがいると、拒否したくなったり、受け入れることに抵抗を感じたりすることもあるでしょう。子どもは本当に素直で純粋です。保育者にそのような反応をされると、「自分は他人から受け入れてもらえない」と感じてしまいます。
 あなたが将来、保育の道に進みたいなら、たくさんの人に出逢い、さまざまな経験を積んでおきましょう。そして、多様な子どもの個性を認め、受け入れられる保育者をめざしてほしいです。

先生の学問へのきっかけ

 私は、研究者になる前に、保育園で14年間保育士として勤めました。そこでは自分なりにさまざまなことに挑戦し、一定の手ごたえも感じていました。その後、縁があって新設の保育園に転勤しましたが、そこでさまざまなキャリアをもつ保育士に出会い、保育士の数だけ保育のやり方があることに気づかされました。この出会いがきっかけとなり、もっと本格的に、また学術的に保育を学びたいと思うようになり、大学院に進んで保育学の研究をするようになりました。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

保育士/幼稚園教諭/保育教諭/小学校教諭

大学アイコン
田中 ミサ 先生がいらっしゃる
梅光学院大学に関心を持ったら

 梅光学院大学は外国語(英語・中国語・韓国語)や文学、地方創生などを学ぶ文学部と小学校、幼稚園教諭、保育士をめざす子ども学部などの2学部2学科7専攻を擁する大学です。最大の特徴は、全学部対象となる希望者全員参加型の独自の留学制度。「THE世界大学ランキング日本版2017年」で、短期留学経験率がNo.1になりました。留学を経験した学生の多くが語学力を伸ばし、航空業界やグローバル企業、英語教員など、めざす進路に進んでいます。就職率も毎年90%超。あなたも梅光で充実した大学生活を過ごし、夢を実現してください。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

TOPへもどる