夢ナビ 夢ナビ

検索結果一覧へ戻る

講義No.10536

AIで匠の技を継承するために

ぶどうの値段はどうやって決まる?

 近年、シャインマスカットという品種のぶどうが流通しています。1房1万円を超える贈答品から、1,000円程度のものまで値段はさまざまです。この値段の開きは、多くの場合は味ではなく形の差です。ぶどうは花が咲き終わると1つの房にたくさんの実をつけます。大きくなる前に成長した姿をイメージして、実を40粒ほどに間引く「摘粒(てきりゅう)」という作業を行い、この結果が値段を左右する形に関わってくるのです。

VRで名人の摘粒を学ぶ

 摘粒がうまくできていないと、実が成長したときに隣同士がぶつかって潰れたり、隙間が空いてスカスカになったりします。名人はどこを切ればいいのかを、長年の経験から判断しています。名人の技を受け継ぐための教育も行われていますが、言葉では的確に伝わりません。そこで、摘粒の練習ができるバーチャルリアリティ(VR)が開発されました。VRのゴーグルをつけると、ぶどうが立体的に映し出されます。ランダムに作られたぶどうの形から、摘粒すべき実をコントローラーで除去しながら理想の形に近づけます。摘粒後のぶどうの成長も確認できるため、摘粒のコツも短時間に掴みやすいです。
 摘粒の現場でAR(拡張現実)のゴーグルをかぶり、その場で人工知能(AI)に切る位置を判断させることもできますが、技術を継承せずに判断をAIに任せてしまうと、人間はAIに指示されて肉体労働をするだけになってしまいます。

匠の技を継承するには

 農業以外の分野でも、日本は名人や匠といわれるようなエキスパートの個人的能力に多くを頼る現状があり、その技をいかに次の世代に継承するかが問題です。AIはディープラーニングにより名人と同レベルの結果を導くことはできますが、技術を理解しているわけではなく、単にこの入力にはこの出力、という計算をしているに過ぎません。一方で名人の頭の中には、どうしてこのようにするのかという理屈があります。それを次世代の人間が理解して継承するための支援として、AI活用の研究が進められています。


この学問が向いているかも コンピュータ理工学

山梨大学
工学部 コンピュータ理工学科 准教授
安藤 英俊 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 周りにどんなことを言われようとも、自分がやりたいことを見つけてそれに没頭できるのはとても楽しく幸せなことです。結果を出すことや社会の役に立つことばかりを気にするより、自分の好きなことを徹底的にやってください。
 私は好きなことをやっているうちに、面白いことができるようになり、気がついたらそれが周りの役にも立つ研究となっていました。ある程度の年齢になると、自分のやってきたことを社会に還元したいという気持ちが自然と芽生えるものです。それまでは自分の好きなことにひたすら打ち込んでください。

先生の学問へのきっかけ

 高校生の時から機械やものづくりに興味があり、そこにコンピュータを加えて何かしてみたいと考え、大学時代は機械系の学科でCAD(製図ソフト)の勉強をしました。その後、コンピュータ系の学科で教えることになった時、「ゲームは社会の役に立たないからゲーム会社など行くなと言われる」と学生が話すのを聞き、それなら自分がゲームの研究をしてみようかと、まずはグラフィックスから始めました。CGで用いるGPUは、単に画像処理だけでなくAIを組み合わせることもできるため、さまざまな分野に役立つ仕組みを作り出せます。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

ソフトウェア技術者/ゲーム開発者

大学アイコン
安藤 英俊 先生がいらっしゃる
山梨大学に関心を持ったら

 山梨大学は、教育学部、医学部、工学部、生命環境学部からなる国立大学です。「地域の中核、世界の人材」というキャッチフレーズを掲げ、地域の要請に応えることができると同時に、世界で活躍できる人材の育成をめざしています。水素と燃料電池の教育研究の国際的拠点であるクリーンエネルギー研究センターは工学部と密接に連携しています。
 教育学部、工学部、生命環境学部のある甲府キャンパスと医学部キャンパスは離れていますが、1年次生は全員が甲府キャンパスで基礎学力の修得と人格の陶冶をめざした全学共通教育科目を履修します。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

TOPへもどる