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講義No.10521

ICT・AIにマッチ! 多職種実践を可視化するF-SOAIPとは

叙述形式の記録のデメリット

 介護や相談などの対人支援において、記録は不可欠です。福祉現場の多くは、支援の対象となる利用者の活動や発言、支援の内容を時間順に日記のような叙述形式で記録されています。叙述形式は記録者が自由に書けるメリットがある一方、書き方のルールが統一されておらず、記録者の文章力に左右されるというデメリットがあります。多職種連携で支援に当たるためには、誰が見ても明確にわかる記録になっていることが大切です。

項目形式の記録法のメリット

 そこで、項目形式の生活支援記録法(F-SOAIP/エフソ・アイピー)を開発しました。まず、一つの支援場面を簡潔に表す言葉でタイトルF(SNSでつける#のイメージ)をつけます。その内容として、利用者の発言をS、観察などから得られた情報をO、支援者の考えをA、実施内容をI、当面の対応予定をPとして、これらの記号を冒頭に書いてから箇条書きに記録します。
 医療・福祉などの記録をこの記録法に統一することで、膨大な情報の整理が行え、専門職の実践プロセスを可視化できるのです。また今後、情報のICT(情報通信技術)化を進める際は、6項目によりデータ化することで、AI(人工知能)の活用や、政府が目指すデジタルトランスフォーメーション(デジタル化による変革)にも貢献できます。

多機関・多職種連携

 現在、注目されている80代の親が長く引きこもった50代の子を支えるという「8050問題」では、親に対する介護支援のほか、子への就労支援や地域交流、世帯としての生活保護など、多様な支援が必要となります。この場合、行政の担当部署は複数となり、ケアマネジャーや訪問介護、NPOなど多機関・多職種の専門家が関わるため、情報を効率的に共有し、支援を円滑に進める記録が求められます。
 F-SOAIPは使われる領域が広がるほど効果が期待できるものです。現在、対人支援共通の方法として、福祉や医療だけでなく、教育やカウンセラー、企業などへの広がりも見られ、国際発信も準備しています。

参考資料
1:TKCの福祉相談支援システム(日本経済新聞)
2:4コマ漫画(社協と認知ケア編)

この学問が向いているかも 社会福祉学

埼玉県立大学
保健医療福祉学部 社会福祉こども学科 准教授
嶌末 憲子 先生

先生の著書
先生がめざすSDGs
メッセージ

 将来を考えた時、保護者や先輩など、自分の周りにいる人と同じ領域の職業を選ぶことが多く見られます。しかし、それが本当に自分に合っているかどうかはわかりません。高校生の頃は、いろいろな体験をして視野を広く持つことが大切です。地域交流やボランティア活動、アルバイトなどで、いろいろな職業の人と話す機会を持つといいと思います。映画や漫画でもいいかもしれません。「これが好きだ」というものがなくても、消去法で考えても構わないのです。そして、行政や病院、地域や企業などで活躍が期待される社会福祉を学びませんか。

先生の学問へのきっかけ

 「対人援助」が合っていると考え進んだ看護系教員の大学時代に、難病を抱えながら在宅で暮らす女性の介護ボランティアを通じ、異性介護がなければ生活を支えられないことに衝撃を覚えました。その後、看護師として働いた病院でも、在宅介護の専門職が不足する状況を目の当りにしたため、社会福祉について学ぶべく大学院に進学し、実践的な研究「生活場面でのコミュニケーション」に着手しました。そして、研究成果を現場に還元するには、誰もが読める日々の記録が必要と考え、質の向上や効率を高められる記録の開発研究を進めてきました。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

行政(福祉職・一般職)/社会福祉協議会・福祉職/生活協同組合・介護職/社会福祉法人・相談員/医療法人・相談員/福祉系企業・総合職/医療系企業・総合職/住宅系企業・営業職/金融・保険系企業・一般職

研究室
大学アイコン
嶌末 憲子 先生がいらっしゃる
埼玉県立大学に関心を持ったら

 埼玉県立大学は、保健・医療・福祉の「連携と統合」を目指し、学科を超えた地域活動・研究活動を行っています。多くの優秀な若者たち、明日の社会づくりの希望を持った若い力がいつかそれぞれの地域や職場で、あるいは世界のどこかで、高い志と豊かな感性、深い知識や技術を持って貢献できる可能性を秘めた人材として育っていけるよう全力で応援します。

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