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講義No.10518

実は縄文人はすごかった! その生活から学ぶ未来へのヒント

縄文人は何を食べていた?

 貝塚で見つかる多数の動物の骨から、縄文人の食事は狩猟による獲物が中心というイメージが強いかもしれません。ところが、近年の考古学の成果によって、低湿地遺跡でトチの実やドングリの皮が山のように見つかり、石器のわずかな付着物からはデンプンも検出されています。木の実を主なエネルギー源として食べていたことがわかってきました。トチの実もドングリもアクが強くて苦いですが、水にさらしたり、焚き火の灰を使ってアク抜きをしたりしていた痕跡が見つかっています。また、石器に残る細かなキズは、木の実をつぶす石臼として使った跡とみられます。木の実を日常的に食べていた縄文人は、とても高度な食品加工技術を持っていたと考えられるのです。

物質的・精神的豊かさも食品加工のおかげ

 低湿地遺跡からは、本来なら腐って残らない漆塗りの器や櫛などの装身具、植物で編んだ大小さまざまな籠も出土しています。漆は赤と黒を使い分け、きれいに彩色されています。籠は麻やイラクサなどの植物繊維をきちんと編んであり、現代にも劣らない高い技術が確立されていたことがわかります。造形美あふれる土偶や、使い勝手が悪い火焔型土器をあえて作っていたことなどから、精神的にゆとりを持って生活していたこともうかがえます。縄文時代の特徴ともいえる、こうした物質的・精神的豊かさが得られたのは、食品加工技術が確立され、計画的に食料を調達できるようになったことが大きく関係しています。

縄文人の知恵に学ぼう

 縄文時代は約1万年続いたと言われています。その間には環境の激変期もあったでしょう。それを乗り越え、生活や文化を維持することができたのは、自然の営みにうまく適応した結果であることは明らかです。さらなる遺跡の発掘と遺物の科学的分析により、食品加工をはじめとする具体的な生活像を解明する必要があります。縄文社会を持続的社会の1つの教訓とし、先人の知恵を学べば、未来の人類行動に生かせるヒントが見つかるかもしれないのです。


この学問が向いているかも 考古学

弘前大学
人文社会科学部 文化創生課程 教授
上條 信彦 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 考古学は先人の知恵の深さを明らかにし、未来を見つめる学問です。過去を明らかにする手段は発掘だけとは限りません。わずかな付着物を顕微鏡などで探し出し、科学的に分析することも重要な作業です。いろいろなジャンルの知見を駆使して目的を達成することが、この学問の醍醐(だいご)味です。
 発掘は体力、忍耐力、適応力が問われます。興味があるなら、目標に向かってみんなで切磋琢磨できるよう、高校生のときからいろいろなことにチャレンジしてください。すぐに結果が出なくても、大きく生かされる時が必ず訪れます。

先生の学問へのきっかけ

 同じものをたくさん集めることが大好きな少年でした。ある日、同級生から「近所の畑で拾った」と言って自慢げに見せられたのは、黒曜石でした。この面白い形の黒曜石を自分でも見つけて、博物館で学芸員に持って行ったところ、縄文人が作ったものだと教えてもらいました。その日から、夢中になって石を集めるようになりました。いつしか考古少年と呼ばれ、考古学にも興味を持つようになりました。やがて縄文時代をメインに研究するようになり、現在は1万年以上続いた縄文文化の謎を探るために食料加工技術を主なテーマとしています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

博物館学芸員/官公庁文化財保護活用部局/官公庁観光振興・まちづくり部局/大学・高校・小中学校教員/研究所研究員/国際機関文化/分析会社地質

大学アイコン
上條 信彦 先生がいらっしゃる
弘前大学に関心を持ったら

 弘前大学は、人文社会科学部、教育学部、医学部、理工学部および農学生命科学部の5学部からなる総合大学で、すべての学問の基礎的領域をカバーしています。
 この総合大学という特性を生かして、本学では教養教育と専門基礎教育を重視した教育を行い、これからの社会に対応できる人材を育成することを目的としています。
 本学の学生は、歴史と伝統のある文化の香り高い弘前市で学びながら、地域の自治体や企業などと連携し、さまざまな活動に積極的に参加しています。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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