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講義No.10510

「考えること」が、新しい技術を受け入れる社会を作る

技術に対しての観点

 進歩が著しい現代では、科学や医療などのさまざまな新しい技術があっという間に普及し、私たちの生活を豊かにしています。これらの技術を受け入れる際、使用方法や倫理観などを研究者だけが考えて進めるのではなく、受け入れる私たち一人ひとりが正しく理解し、その技術に対して自分なりの観点を持つことが必要です。

ブタの体を使って人間の臓器を作ってもいいか?

 臓器移植について考えてみましょう。世の中には臓器移植を望む患者さんがたくさんいるのに対して、実際に移植できる臓器は不足しているのが現状です。しかし、臓器を人工的に作る技術はまだ確立されていません。人間の臓器は一種類の細胞ではなく、筋肉や血管などのさまざまな細胞が組み合わさってできた複雑な立体の構造物だからです。iPS細胞の研究によると、人間とほぼ同じ大きさの臓器を持つブタの体を使えば、人間のすい臓をつくることが可能となってきました。臓器を欠損するように遺伝子操作されたブタの体内に人のiPS細胞を入れると、ブタの体の中に人への移植が可能なすい臓ができるのです。これは倫理的に行ってもよいことでしょうか?

答えのない問いを考える

 アンケート調査では「人の命を救えるのなら構わない」「ブタも命があるのだからかわいそうだ」「ブタは食べているのだから気にならない」などのさまざまな意見が出ました。一般論として考えたときと、もしも自分や自分の家族が臓器移植が必要だという立場で考えたときとでは、意見が変わることもあります。これが正しいという一つの答えはありません。
 答えのない問いに悩むことは、考える力を養います。さらに社会全体で一つの問題を考えることは、新しい技術を受け入れる土壌を作るのです。多様性(ダイバーシティ)に富む社会では、自分の考えと他人の考えは決して同じではありません。自分とは違うさまざまな意見に耳を傾け、どうしてそう考えるのかを考察し、最善はどこにあるのかを探る意識そのものが大切なのです。


この学問が向いているかも 教育学

茨城大学
教育学部 養護教諭養成課程 教授
石原 研治 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 受験を控えて、いまは勉強が大変な時期ですが、目標のために勉強に向き合えるということは、社会人になって振り返ると、かけがえのない時間のように思えます。自分が決めた道があれば、それをめざして頑張ってください。
 加えて、自分の考えを持つことは大切ですが、人の意見もきちんと聞くことも大事です。その意見の良し悪しは別として、まずしっかりと耳を傾け、どうしてそういう意見なのかを考え、話し合うというコミュニケーション能力を磨きましょう。それは、大学や社会の中で必ず役に立つはずです。

先生の学問へのきっかけ

 高校生の時からがんの研究に興味があり、工学部バイオ系の学科に進学して大学院修士までがんの研究を行いました。その後、アレルギーの研究に移り大学院薬学研究科で博士号を取得し大学スタッフとして研究を続けました。研究は楽しく充実していましたが、ある時、自分の研究成果だけを追い求め患者さんの姿が頭の中から消え去っていたことに気づきました。そこで、患者さんのことを考える研究者を養成したい、社会全体が一つの課題について考えられる土壌を作りたいと考え、現在は科学コミュニケーションに関する研究に取り組んでいます。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

養護教諭/教師

大学アイコン
石原 研治 先生がいらっしゃる
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 茨城大学は、人文社会、教育、理、工、農の5学部からなる中堅的地方総合大学です。校地は水戸・日立・阿見の3地区に分かれており、各キャンパスとも学生を中心とした環境づくりを進め、教育研究施設の充実を図っています。幅広い教養教育と高度の専門教育により専門家として自立できる人材を育成するため、学部・大学院にて多様な学習の場を用意し、各分野で世界を先導する研究活動を推進しています。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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