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講義No.10503

雑草を通して考える、新しい「農」との関わり方

AIを活用して望み通りの畦を作る

 田畑の周りにある土を盛った畦(あぜ)には、水田の水をためる役目があり、農作業の時に歩道としても使います。畦には少なくとも50種、有機栽培の水田では100種以上の雑草が生えています。雑草は種によって適切な管理方法があり、50~100種もあると、どの種に合わせた管理方法を選べばいいのか人間の頭ではわかりません。そこで、雑草名や特徴をタグ付けした画像をAIに学習させ、バランスを考えた刈り取り時期や除草剤の種類を判断させるという取り組みが進んでいます。適切に管理すれば、ちょうどいい雑草群落になります。「手間をかけたくない」とか「生き物が多い方がいい」など、農家の事情に応じた望み通りの畦にすることも可能です。

早期発見で繁殖を防ぐ

 生態系や農産物、人体に被害を及ぼすおそれのある特定外来生物のアレチウリという植物の、大豆畑への侵入が危惧されています。北アメリカ原産で、大豆の茎や葉にツルで絡みつきながら驚くべき繁殖力で伸びて密生するので、大豆は光を遮られ枯れてしまいます。早期発見・早期駆除が重要なので、河川づたいに広がるという特性をもとに分布予測図を作製し、農地へ侵入する前に駆除する計画を立てるのです。また、アレチウリの葉の形や色をAIに覚えさせ、空撮画像からアレチウリを探し出させる技術も開発されています。

農業の実態とともに雑草管理を考える

 大豆畑では昔から、栽培途中に土を耕して雑草を駆除し、大豆が倒れないように土を盛る「中耕培土」は欠かせない作業でした。しかし近年は高齢化でこの作業ができないといった理由などから、畑を耕さない不耕起栽培が行われるなど、農作業も変化しています。例えば、外来雑草を駆除するために中耕培土をやりましょう!と言っても、既にそのための機械を持っていない方も多く、雑草のことだけを見て管理技術を開発していてもダメなのです。これからは、農業の実態や地域性、人の考え方などの相互のつながりを総合的に見ながら雑草管理を提案していく必要があります。


この学問が向いているかも 雑草学、植物学、生態学、環境学

福井県立大学
生物資源学部 創造農学科 准教授
水口 亜樹 先生

メッセージ

 「どうしてこの人はこんなことを考えるのだろう?」と人の気持ちに興味を持ち、理解しようとするあなたなら、きっと植物の気持ちもわかるはずです。田畑ではあんなに伸び伸び育つのに、シャーレの中で栽培しようとすると、なかなか芽を出してくれない、そんな気難しい雑草も、上手に育てられます。
 スミレの花の砂糖漬けや、ツクシの茎を乾燥させたお茶を味わいながら、「雑草学」を一緒に楽しみましょう。種類を覚えると、とってもかわいい存在になります。植物も人も好きなあなたを待っています。

先生の学問へのきっかけ

 食べ物に関することを学んでいれば食いっぱぐれはないだろう、という理由で農学部に進み、そこで生態学を専門とする面白い先生に出会いました。その先生のもと、チガヤというイネ科の植物を研究することになりました。昔の人はチガヤを牛の餌や茅葺きにと重宝していたのに、今では厄介者扱いされ、「こんなに可愛いのに」と思いながら向き合った、忘れられない植物です。その研究成果を雑草学会で発表したところ、皆さんに褒めていただき研究が楽しくなりました。これからも生態学をベースに、雑草とともに歩んでいきます。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

農業専門職公務員/緑化会社営業開発

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水口 亜樹 先生がいらっしゃる
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 本学は、経済学部(経済・経営)、生物資源学部、海洋生物資源学部、看護福祉学部(看護・社会福祉)の4学部6学科からなる公立の総合大学です。
 福井県は、歴史や自然の豊かさ、生産技術、生活文化の質の高さを誇り、非常に優れた「学びと体験のフィールド」です。
 充実した施設・設備と恵まれた自然環境の中、少人数教育を柱に、専門能力の養成はもちろん、教養・語学・情報教育を重視した多彩な教育プログラムを展開しています。
 また、グローバル時代に対応した留学制度の充実など、教育の国際化にも力を入れています。

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