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講義No.10502

多文化共生を探るために~信頼できるデータを集める社会調査法~

研究を支える社会調査法

 研究ではどんな分野でも、正確なデータが求められます。根拠となるデータが誤っていると結論も間違ったものになってしまうからです。例えば多文化共生について研究するときにも、適切な調査方法でデータを集めたうえで、課題を解決するために必要な要素などを探ります。特に社会学で、データの集め方や分析について考える分野を「社会調査法」と呼んでいます。

調査方法の検討も大切

 社会調査法は量的調査と質的調査の2種類に分けられます。質問紙(いわゆる「アンケート用紙」)などを使った量的調査は、大人数から回答を集め、数量データにすることができますが、得られる回答は質問紙に書かれている項目に限られます。例えば「人生に満足していますか」と質問紙で尋ねた場合、満足の有無以上のことを把握することは難しいでしょう。なぜなら、質問紙以外の情報がないからです。一方、質的調査は少人数を対象にインタビューなどを行うもので、掘り下げてデータを集めやすいという長所があります。例えば人生に満足しているか聞いた後、その場で「何に対して満足していますか」と踏み込んだ質問ができます。確認したいことがあるときは量的調査、新たな発見をしたい場合は質的調査など、目的や状況に応じて調査方法を選ぶ、組み合わせることで、より効果的に情報を集められるのです。

多文化共生に必要な相互交流

 多文化共生の鍵を探るため、ある地域を対象に日本人と外国籍住民への調査が行われました。この調査によると、学歴や年齢を問わず、日本人は外国籍の友人がいる人ほど多文化への寛容性が高いことがわかりました。日本国内の外国籍住民は、労働の機会を求めて来日することが多いものの、職場だけではなく地域社会とも関係を築かなければなりません。しかし外国籍住民は3K(きつい、危険、きたない)と呼ばれる劣悪な環境で働いていることが多く、日本人との相互交流が難しい場合もあります。調査結果の分析から、行政や企業が交流機会をどう促進していくかという新たな課題が見えてきました。


この学問が向いているかも 社会学

順天堂大学
国際教養学部 国際教養学科 准教授
大槻 茂実 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 移民受け入れや新型コロナウイルスの流行など、社会は急速に動いています。こうした変化を過度に恐れるのではなく、データに基づいて物事の本質を考えてほしいと思います。社会学、経済学、法学など視点はたくさんあります。何か一つでも重心を定めると、変化や社会の流れを冷静にとらえられるようになります。
 また、現代はデータの扱い方や考え方が問われる時代なので、大学では信頼できるデータの集め方や分析方法を身につけ、変化に対応するための視点を養ってください。

先生の学問へのきっかけ

 大学3年生の頃、社会学のゼミで社会調査を経験しました。調査員として家を訪問し協力をお願いしましたが、調査表に記入してくれた人は少数でした。どうすれば住民に協力してもらえるのか作戦を考えて実践しているうちに、自らの足で情報を集める学問のリアリティーや面白さに気づきました。また、海外の人種問題に関心があり、日本社会に人種の差異がどのような影響を及ぼすのか知りたいと思いました。現在は他文化への排斥感情を軽減するためには相互交流が鍵になると考え、社会調査の観点を交えて研究しています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

行政職員/調査会社やシンクタンクでの調査・研究員/大学や研究機関での研究員/マスコミや広告代理店でのデータ分析/その他一般企業でのマーケティング、総合職

大学アイコン
大槻 茂実 先生がいらっしゃる
順天堂大学に関心を持ったら

 順天堂大学国際教養学部は、人を強く思う気持ち「仁」の精神を生かし、社会課題、異文化コミュニケーション、そして健康をテーマに、世界に目を向けたグローバルな視点で問題を解決できる真のグローバル市民を育成します。
 問題が起きている外国に赴き、課題と向き合うだけではなく、それがなぜ起こったのか、どんな仕組みがあれば、解決の方向に向かうのか、そして何よりも、それは誰のために行うのか。そんな人を思うことのできる力を身につけてください。専門知識を学び、国境を越えて誰かを思う人を、私たちは全力でサポートします。

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