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講義No.10495

負の遺産を克服しながら国を作る、紛争国のダイナミックな動きを追え

植民地政策が紛争の原因

 中東やアフリカでテロや人質殺害といった事件が起こると、多くの人々はアルカイダやIS(イスラーム国)といった過激な組織に対する恐怖を感じます。ところが、このような宗教や民族に起因するようにみえる紛争が起こる背景には、ヨーロッパの国々による植民地政策もあります。イギリスやフランスは植民地統治のなかで、自分たちの都合で現地の少数派を統治機構に組み込んだため、内部に対立が生まれました。また、勝手に国境線を引いたため、国の内外で利害対立が起こり、それも紛争の原因の一つとなったのです。

短期間で国作りを求められる紛争国

 中東やアフリカの国々は統治機能が脆弱なため、紛争を収めることができず、テロ組織の介入を許したり、民兵組織や自警団といった自主的な組織が医療、教育、インフラ整備、治安の維持を行ったりするようになりました。当初は現地の人々から歓迎されますが、紛争が収まると、そうした組織は政治活動を行うようになります。さらに、産油国であれば石油の利権を得ようとして、そこからまた利害対立が起こったのです。ヨーロッパの国々は、戦争を繰り返しながらも、何百年もかけて自らの中央集権国家を築いてきました。しかし、中東やアフリカの国々は紛争を防ぐためにも、短期間での国作りを求められており、非常に困難な課題を突きつけられているのです。

実態をどうとらえるか

 これらの国々は、植民地時代の負の遺産を克服しながら、国作りをしなければなりません。先進国は、テロを防ぐためにもそれを支援したいと思っていますが、介入すると対立を拡大させる可能性があり、両者はディレンマに満ちています。
 中東やアフリカの研究は、これまで紛争の原因や被害の実態、解決のための政策論が主要テーマでした。しかし、それだけでは実態をとらえることができません。研究では植民地時代の負の遺産を克服しつつ国作りをし、かつ紛争にも対応している中東諸国のダイナミックな動きをとらえること、そして紛争がその後、国家や社会にどのような影響を与えているのかという点の解明が求められているのです。


この学問が向いているかも 中東政治学、比較政治学

九州大学
共創学部 共創学科 准教授
山尾 大 先生

先生の著書
メッセージ

 複数の人がいれば争いが起こります。もちろん、今も世界中でたくさんの紛争が起こっています。なぜ人は殺し合いをするのだろう、なぜ紛争はなくならないのだろう、という疑問を持つことは意味のあることです。しかし、答えを探すことは困難を極め、もしかしたら一生答えは見つからないかもしれません。そうは言っても、考えることをやめてしまえば、平和に向かうことはできなくなります。
 紛争が頻発する中東やアフリカは、そんな人間の根本的な疑問を投げかけます。興味があるなら、ぜひ一緒に研究しましょう。

先生の学問へのきっかけ

 9.11アメリカ同時多発テロ事件のとき、たまたまアメリカに留学中でした。アルカイダが犯人だとわかると、アメリカではイスラム教徒に対する感情的な批判が吹き荒れました。私は原因の一端がアメリカにあると考えていますが、そんな冷静な意見を言えるような状況ではありませんでした。ただ、飛行機で高層ビルに突っ込むというのは常軌を逸しています。何が起こり、人々は何を考えているのか、中東にはわからない点がまだまだあると考え、中東についてさらに研究しようと考えるようになりました。

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山尾 大 先生がいらっしゃる
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 九州大学は、教育においては、世界の人々から支持される高等教育を推進し、広く世界において指導的な役割を果たし活躍する人材を輩出し、世界の発展に貢献することを目指しています。また、研究においては、人類が長きにわたって遂行してきた真理探求とそこに結実した人間的叡知を尊び、これを将来に伝えていきます。さらに、諸々の学問における伝統を基盤として新しい展望を開き、世界に誇り得る先進的な知的成果を産み出してゆくことを自らの使命として定めています。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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