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講義No.10451

変化するデザイン! 未来に求められるのは共生するためのデザイン

時代ごとに変化するデザインの目的

 近代デザインは産業革命後の工業化の時代に始まりました。大量生産を可能にする設計がデザインの役割でした。大量生産によって物が豊かになると、今度はいかに売るかが課題になります。マーケティングや広告、ニーズの掘り起こし、そして魅力的な製品デザインが求められました。そして今は、人間中心のデザインの時代です。ユニバーサルデザインのように、どんな人にも使いやすいデザインや、人間とコンピュータをつなぐデザインなどが重視されています。そして今後は、人間だけでなく、地球環境や他の生物との共生がデザインのテーマになっていくことは間違いありません。

SDGsで注目される社会的デザイン

 SDGsは、2015年に国連サミットで採択された持続可能な開発目標です。17の目標が掲げられ、2030年までの実現をめざして、世界中でさまざまな取り組みが行われており、デザインも大いに貢献しています。
 例えば、ライフストローという製品は、泥水を飲料水に濾過する小さなプロダクトですが、これによって病気を防ぎ、多くの生命が救えます。また、アフガニスタンのデザイナーは、「風力で動く地雷除去装置」をデザインしました。この装置は、低コストで製造でき、さらにGPS搭載で移動ルートをコンピュータで把握できます。これまでかかっていた地雷撤去費用を大幅に下げられる画期的なデザインです。このような社会的なデザインは、世界が共生していくために、これからますます注目されるでしょう。

社会を変えるデザインへ

 社会的デザインは、便利なものを作るだけでなく、社会の問題に向き合い、社会を変えようとします。例えば、福岡県の小石原焼(こいしわらやき)のために、伝統技法を用いて直径40cmもある美しい大皿がデザインされました。これは、孤食が進むなかで、大皿が家にあることで家族や友人と食事を楽しむ「共食」の機会をつくろうという意図があります。デザインは、いつの時代も人々の生活や社会をよりよくしようとしてきたのです。


この学問が向いているかも 芸術工学、デザイン学

九州大学
芸術工学部 芸術工学科 未来構想デザインコース 准教授
池田 美奈子 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 色や形を考えるだけがデザインではありません。デザインの目的は人を幸せにすることです。そこには社会を見る目や、テクノロジーの知識も必要です。デザイナーになるには、絵を描いたり物を作ったりする能力が必要だと思うかもしれません。しかし、もっと必要なのは生活を見る目と、アイデアを考え出す力です。普段から、そのような観察眼と創造性を養ってほしいと思います。
 日常を記録しておくのもよい方法です。文章でも写真でもスケッチでもよいですが、記録するためには観察眼が必要です。あなたもぜひ、やってみてください。

先生の学問へのきっかけ

 ドイツの大学と日本の大学院でデザインを学んだ後、編集者として雑誌や書籍を作っていました。その後、デザイン会社を共同設立し、デザインの実務にも携わりました。大学の研究者になり福岡に拠点を移してから、地元の小石原焼(こいしわらやき)や八女の工芸品などの伝統工芸に出合いました。伝統工芸は、ビジネスとしては衰退しつつある分野ですが、新しいデザインを提案して、現代との結びつきを復活させ、未来に継承する可能性を探っています。生活に根付くべきデザインの役割も変化しています。これにいかに応えるかが課題です。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

家電メーカーのデザイナー/広告代理店のプランナー/自治体のデザインセンターの研究員/デザイン会社のデザイナー/玩具メーカーの企画/出版社の編集者

大学アイコン
池田 美奈子 先生がいらっしゃる
九州大学に関心を持ったら

 九州大学は、教育においては、世界の人々から支持される高等教育を推進し、広く世界において指導的な役割を果たし活躍する人材を輩出し、世界の発展に貢献することを目指しています。また、研究においては、人類が長きにわたって遂行してきた真理探求とそこに結実した人間的叡知を尊び、これを将来に伝えていきます。さらに、諸々の学問における伝統を基盤として新しい展望を開き、世界に誇り得る先進的な知的成果を産み出してゆくことを自らの使命として定めています。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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