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講義No.10438

環境問題を解決する次世代を育む 自分ごととして学ぶ環境教育

環境問題はひとつの分野では解決できない

 環境問題を解決するためには、分野の垣根を超えて協力する必要があります。例えば原子力発電に関する環境問題は、原子力に関する物理の知識だけでは解決できません。原子力発電を運用するための法律、環境への影響など、さまざまな分野の知識が求められるからです。そのため環境問題への意識を高めるための「環境教育」では知識を与えるだけでなく、情報をクリティカルに捉える習慣、解決策を模索する創造力、他者と協力するためのコミュニケーションスキルや、説得力のある提案をするための客観的な視点も、実践を交えながら身につけます。

環境教育のプログラム

 環境教育では発達段階に合わせたプログラムが行われています。例えば幼児に対してはいきなり知識を与えるのではなく、体験を通して自然を身近に感じてもらうことを重視します。小学校高学年からは知識の教育に力を入れ、さらに高校生以降は生徒が主体的に学べるよう実践を交えたアクティブ・ラーニングを行います。その結果、授業などで早期から環境問題について考える機会のあった世代は、食品ロスやマイクロプラスチックによる環境汚染など、より具体的な環境問題に関心を持つ傾向を示しました。

「自分ごと」としてとらえるために

 大学生になると、地域などのコミュニティと関わりながら環境問題解決に向けた活動に取り組みます。例えばゴミ問題を扱うときは世界の現状や対策を調べるだけでなく、大学内や地域でできることを考え実践します。実際に大学生がペットボトルゴミ削減のために、大学内にマイボトル用の給水器を導入した事例があります。学内で決定権を持つ人物に、給水器の需要を数値化したアンケート結果や、給水器導入によるメリットなどを挙げながらプレゼンテーションを行い、説得したのです。
 環境教育を受けた大学生を対象としたアンケート調査では「授業を通して環境問題を自分ごととして考えられるようになった」という声が多く、能動的に学ぶ環境教育のカリキュラムが一定の成果を上げているといえます。


この学問が向いているかも 環境教育学

国際基督教大学(ICU)
教養学部 アーツ・サイエンス学科 教授
布柴 達男 先生

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先生がめざすSDGs
メッセージ

 世の中に「当たり前なこと」はひとつもなく、すべて意味があって、その形になっています。例えば500円という安いTシャツの場合、安く売れる理由があるはずで、中には途上国の労働者が低賃金で働いているなどの問題が隠れていることもあります。身の回りのさまざまな事例に疑問を抱き、原因を考えることが環境教育の第一歩です。
 また疑問に対する答えはひとつとは限りません。あなたが複雑な社会の課題に立ち向かうためにも、事例を集めて分析し、改善策を考えて実践するという普遍的な学び方を、環境教育を通して知ってほしいです。

先生の学問へのきっかけ

 生物が好きで、大学では微生物遺伝学などを学び、卒業後は農薬や食品添加物といった環境中の化学物質が生物におよぼす影響を研究する道に進みました。環境教育に興味を持ったのは、内閣府の食品安全委員会で農薬のリスク評価をしていたとき、実験室での試験管の中で起こる現象だけでなく、より広い視点で物事を見ることが大切だと実感したからです。農薬は屋外で使うため、光の影響やほかの生物への影響なども考慮して評価しなければなりません。このことを学生にも伝えたいと思い、環境毒性学の研究や環境教育の実践に取り組んでいます。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

国内外大学院進学/製薬会社治験コーディネーター・MR/化学会社営業・マーケティング/コンサルタント会社アナリスト/IT情報マーケティング・教育企画/NPO環境・教育支援/医師・遺伝カウンセラー/教員

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布柴 達男 先生がいらっしゃる
国際基督教大学(ICU)に関心を持ったら

 ICUは教養学部1学部の中に31のメジャー(専修分野)を設けています。学生は入学時に専攻を定める必要がなく、入学後に様々な科目を履修し、自分の関心を見極め、2年次の終わりまでにメジャーを決定します。メジャーには、文学、物理学、心理学などの伝統的な学問分野と、「平和研究」「アメリカ研究」などの問題解決型や地域研究型があります。どの分野も、他大学の学部に相当する科目群を配し、専門を系統的に学ぶことができます。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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