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講義No.10392

ごみ焼却で発生する塩化水素ガスに耐えられる金属を探せ!

塩化水素ガスは金属を腐食させる

 現在、プラスチックによる問題が深刻化しています。国連のSDGs(持続可能な開発目標)では海洋プラスチックゴミが取り上げられていますが、問題はそれだけではありません。ごみ焼却場の施設や熱利用発電設備に使用される金属が、設計時の想定耐用年数より早く腐食してしまう現象が起きています。原因を探ると、焼却時に出る塩化水素ガスが金属の腐食を速めていることがわかりました。塩化水素ガスはプラスチックを燃やす時に発生します。ごみ焼却炉の中では、捨てられたプラスチックから出た腐食性ガスが悪さをするのです。焼却場の寿命を延ばすためには、どういうメカニズムで塩化水素腐食が進行するのか、どんな材料にすれば腐食を食い止められるのかを研究する必要があります。

高温下でどうやって重さを測るか

 研究では800~1000℃程度の高温空気に塩化水素ガスが1%程度含まれる中で金属がどんな反応を見せるのかを観察します。この時、腐食の状態を知るには金属の重さの変化を調べるのですが、800~1000℃の中で熱いまま金属の重さを測るには、どのような「はかり」を使えば良いでしょうか。装置自体が壊れては困ります。数マイクログラムの測定精度が必要です。金属試料を保持しているホルダーが変化しては困ります。しかも、周りは腐食性ガスが充満しています。……さて、あなたが測定するとすれば、どんな手をつかいますか。

腐食の様子を化学反応で理解する

 金属は、腐食すると自身が酸素と結びつくため、時間が経過するにつれ重くなります。しかし、金属の種類により、また周りの環境により、様子はまったく異なります。時間に比例して重くなるもの、ある時間から急激に重くなるもの、途中で変化しなくなるもの、軽くなるものなど、さまざまです。質量変化のグラフの形は、腐食反応のメカニズムとまさに対応していて、精緻な測定と化学反応の検証から、腐食に耐えられる材料を開発していくのです。


この学問が向いているかも 材料工学

秋田大学
理工学部 物質科学科 材料理工学コース 准教授
佐藤 芳幸 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 私たちの身の回りには、当たり前だと思えるけれど、考えてみるとなぜだかよくわからないことがたくさんあります。その一つひとつを見逃さずに疑問を持ってください。このようなことを解明するには、関係なさそうな教科でも興味を持って勉強しておくことが大切です。何かを考えるときに、歴史的背景を知っているか、導き出す式を理解しているか、言葉の違う人と話し合えるか、などが解明の鍵になることもあるからです。今、あなたの目の前にあるものに、意味のないものなど一つも存在しないのです。

先生の学問へのきっかけ

 大学では工学部に入り金属について研究しましたが、実は金属に特に興味があったわけではなく、当時の理系生徒に人気のあった分野に、漠然としたあこがれをもっていたのです。しかし、金属材料に取り組むうちに、どの分野でも材料開発がなければ成り立たないことに気付き、金属が非常に面白いと思うようになりました。ちょうど環境問題が取り上げられ始めた時代だったため、ごみ焼却時に出るガスによる腐食に耐えうる金属材料の研究を始めました。材料の性質はまだまだわからないことばかりです。材料学では、世界初となる研究も可能です。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

金属表面処理会社技術員/鋳造加工会社技術員 ほか

大学アイコン
佐藤 芳幸 先生がいらっしゃる
秋田大学に関心を持ったら

 地球を舞台に活躍する資源スペシャリストを養成する「国際資源学部」、教育分野や地域社会における現場実践力を養う「教育文化学部」、地域医療の核となり人々の健康と福祉に貢献する「医学部」、独創的な発想と技術力を育む「理工学部」の四学部が連携し、地域に根ざし世界に発信する教育・研究拠点をめざしています。
 四季の彩り豊かなキャンパスでは、日本全国そして世界各国から集った学生がそれぞれの目標に向かい、勉学や課外活動に打ち込んでいます。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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