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講義No.10374

大気や海洋の運動を流体力学で統一的に理解する

大気や海洋の現象を流体力学の理論で説明する

 大気や海洋の現象は、空気や海水といった流体の現象と考えることができます。流体の運動は、物理の法則に基づいて刻々と変化を続け、物理の方程式で運動を予測することができます。ただ、一般の流体の運動と違って大気や海洋の運動は、地球の自転や、地球の重力の影響を強く受けています。そのような自転や重力の影響を受けた流体は特に「地球流体」とよばれ、地球流体の運動を研究する学問を「地球流体力学」といいます。地球流体力学は、大気や海洋で起こる現象を、大気や海洋といった対象にとらわれず、物理をつかって統一的に理解することをめざしています。

地球の自転や重力の影響

 地球流体は、地球が自転しているために、回転軸と平行な方向に流れがそろう傾向があります。また、地球に重力があるために、地表に近い大気の密度は濃く、地表から離れた大気は薄くなっていきます。これが自然に混ざりあうことはありません。ですから、地表に対して垂直方向の運動やその変化を無視して、水平方向、つまり2次元の流体力学で、いくつかの大気現象や海洋現象を説明することができるのです。さらに回転や重力は、回転や重力がない場合と比べて流体の中に特異な渦や波を作り出します。

2次元流体力学のメリット

 大気や海洋の現象を2次元の流体現象とみなすことで、物事が理解しやすくなります。あつかう変数の数や方程式が減るからです。ただ、2次元で説明できない現象もあります。大気の代表的な渦である竜巻には高さがあります。竜巻の渦の軸はゆらゆらと揺れて不安定で、竜巻は移動しながら、時間とともに軸が崩れ、最後は消滅します。このように渦の軸がゆらぐのは3次元の流体の特徴です。ところが、別の大気の渦である台風は、軸は安定しており、進行方向の前方にある台風を追い越したり、二つの台風が一つに合体したりすることがあります。これらの点は2次元の流体力学で簡単に説明することができるのです。


この学問が向いているかも 地球流体力学、気象学

福岡大学
理学部 地球圏科学科 教授
岩山 隆寛 先生

メッセージ

 福岡大学の地球圏科学科では、1・2年生で数学と理科4分野(物理学・化学・生物学・地学)を学びます。3年生になると地球科学、生物科学、地球物理学の3つの分野から自分が進みたい専門分野を選ぶことになります。
 私が担当する地球物理学は、本来は地震、火山、海洋、気象などの分野に細分化されますが、本学では教員すべてが気象学に関わる研究を行っています。これは他大学にない大きな特色です。気象学といってもさまざまな研究アプローチがあります。あなたが気象学に関心があるなら、ぜひ一緒に研究しましょう。

先生の学問へのきっかけ

 天気に興味があった私は、高校の教師から気象学を学ぶなら物理学を勉強したほうがいいよというアドバイスをもらい、大学は物理学科に進みました。物理というと、公式を憶えてパズルのように問題を解くものだと考えている人もいるかもしれません。しかし、物理学には出発点となる原理からすべてが導けるという論理の美しさがあります。それに魅力を感じ、地球の気象現象、つまり大気と海洋にある渦という流体現象を物理学の理論で解明したいと思うようになりました。どれだけ論理を簡素化できるかが、現象の理解には欠かせません。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

気象庁/地方公共団体/システムインテグレーター/ITソリューションプロバイダ

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岩山 隆寛 先生がいらっしゃる
福岡大学に関心を持ったら

 福岡大学は、9学部31学科、在学生2万人を有する総合大学です。多くの学生や教職員が行き交う広大なキャンパスは福岡市の南西部に位置し、都心部との交通の便もよく、活気に満ちあふれています。「ワンキャンパス」に全学部が集結しており、総合大学の魅力を生かし、学問・研究および課外活動などにおいて学部間の交流が盛んに行われ、文系・理系だけにとどまらない幅広く多様な視野と知識を得ることが可能な大学です。また、創立から80数年で輩出した卒業生総数は25万人を超え、あらゆる分野で力を発揮しています。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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