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講義No.10354

褒め言葉が運動の習得を促進する

リハビリテーションを支える理学療法士

 理学療法士は主に病院や介護施設などでリハビリテーションを行う国家資格職です。さまざまな要因で運動機能が低下した人に対して、元の日常生活を送るために必要な体の動作を取り戻す手助けをします。また、災害での長期の避難所生活や緊急事態宣言下の外出自粛でも、人々の活動のレベルが下がることで体への支障が出る可能性があります。これからは予防の段階から理学療法士が関わることも必要になるでしょう。

脳は「報酬」に反応する

 リハビリテーションで正しい動きを覚えるためには、運動学習に基づいた指導が大切です。スポーツや楽器演奏などの練習では「体で覚えろ」と言われることがありますが、運動能力の獲得は脳の中で起きる現象です。例えば、バスケットボールでシュートを投げた時に、ゴールに入らずに右側に落ちてしまったら、もう少し左に投げればいいと小脳が判断し、次にフィードバックされた運動の修正を行います。
 さらに複雑な技術を習得するときは、大脳基底核が重要な役割を果たします。例えば犬などのペットをしつける際に、良いことをしたら食べ物を与えたり、なでたりします。これらの「報酬」に適応して、自発的にある行動を行うように学習することを「オペラント条件づけ」と呼び、大脳基底核の辺縁系という部分が関わっています。学校や習い事で、先生に褒められているうちに何かができるようになるのは、指導する先生の言葉が報酬となり、脳が反応して、その課題を習得するからです。

声掛けの工夫が効果を発揮

 これらの運動学習の概念を、リハビリテーションでも声掛けに応用します。「前より3センチ進みました」「10秒から3秒に縮まりました」などの細かな情報により小脳へのフィードバックを促しながら、同時に「うまくいきましたね」「とてもいいですね」と褒めることで、大脳基底核を反応させます。リハビリテーションでの声掛けは、ただ患者さんを励ますだけでなく、理論に基づいた効果があるのです。


この学問が向いているかも 理学療法学、運動学習理論、脳科学

帝京平成大学
健康メディカル学部 理学療法学科 教授
阪井 康友 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 学生たちが理学療法士を志す理由は、家族の介護の経験や、スポーツ選手のサポートがしたいなど、さまざまです。それぞれに仕事の具体的なイメージを持って入学する人が多いため、モチベーションが高く、クラス全員が同じ目標を持って一丸となって学ぶ雰囲気があります。国家資格取得のための勉強は大変ですが、高校までに習得した科目の応用ではなく、習うことすべてが新しい教科だというのも一つの特徴です。
 理学療法士が活動するフィールドはこれからますます広くなります。あなたもぜひ一緒に勉強しましょう。大学で待っています。

先生の学問へのきっかけ

 私の兄は重度の小児麻痺だったために施設で暮らしていました。そこでたくさんの施設の職員が利用者を支えているのを見て、リハビリテーションを行う理学療法士をめざす気持ちが芽生えました。
 私が理学療法士の免許を取った時は、まだ合格者が5千人程度しかおらず、高校生が進路に理学療法士の養成校を選ぶこと自体がとても珍しいことでしたが、現在は合格者が年間1万人に近づいています。その人の持つ機能を最大限に引き出し、元の暮らしに戻ることをサポートするために理学療法士は病院や施設で活動をしています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

理学療法士(PT)として:総合病院/リハビリテーション専門病院/介護老人保健施設/小児専門病院/官公庁保健・介護保険/訪問リハビリテーション/スポーツ医学のクリニック/プロスポーツ団体/健康・美容産業の企業など

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阪井 康友 先生がいらっしゃる
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 首都圏の4つのキャンパスには、あなたの学びたい思いに応える医療からグローバルまで5学部19学科の学びがあり、約10,000人の学生が学んでいます。各キャンパスではそれぞれ、地域の医療や暮らしに関する拠点となる施設・環境を整え、学びに応じた実学教育を展開。学生は実習を積み重ね、実践能力を身につけています。

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