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講義No.10352

日本発の夢の技術 ハードX線レーザーが変える未来

レーザーの進化

 レーザーとは、誘導放出というアインシュタインが理論的に考えた過程を使い増幅した光です。単色で強度があり、指向性も備えています。1960年に初めてレーザー光がつくられ、1986年にX線という非常に短い波長の光をレーザーにすることに成功しました。さらに2009年にアメリカ、2011年に日本で大型の自由電子レーザー施設が建造されると飛躍的に研究開発が進み、1Å(オングストローム)という原子サイズの非常に短い波長のX線レーザーがつくられました。

日本で生まれたハードX線

 X線自由電子レーザーは非常に短い時間で分子などの構造を見ることや、医薬品において化学結合が変化する様子をリアルタイムで見ることができ、応用研究もさまざまに発展しています。それでも、X線自由電子レーザーの色(発振スペクトル)には、まだわずかにバラツキがあります。そこでより理論限界の単色光をつくるため、「X線自由電子レーザーでレーザーをつくる」という研究が行われました。実験は兵庫県にあるX線自由電子レーザー施設・SACLAで行われ、日本のX線光学技術の粋を集めて作られた非常に高精度で形が整った鏡が用いられました。そして2015年、10²⁰W/cm2という前人未到だった強度を達成し、それにより単色と呼べるハードX線レーザーが誕生したのです。

世界を変える可能性

 ハードX線レーザーは世界中から注目を集め、応用研究も盛んに進められています。将来的には、エンジンなどの金属壁を透過させて、内部の燃焼の様子を測定する、といったことも可能になるといわれています。また、干渉性が非常に強いという特性を利用して、ハードX線領域でホログラム(映像を3次元的に記録する技術や媒体)が可能になれば、現在主流のCTスキャンよりもより立体的に体の中の状況を可視化することができるでしょう。さらに、強い指向性を利用して地球にいながらにして月の表面の情報を得ることも期待されるなど、ハードX線レーザーには計り知れない可能性が秘められています。


この学問が向いているかも 物理学、原子物理学、光学

電気通信大学
情報理工学域 ⅠⅠⅠ類 教授
米田 仁紀 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 研究が盛んな理系の大学では、貴重な研究機器や素材、他にはない最新設備などが集められています。それらに日常的に触れながら学べるということは、あなたの人生の中で非常に得難い機会となるでしょう。
 あなたが大学に入学したら、ぜひ入学直後のキラキラとした探究心を失わず、大学の中で宝探しをするように、自分の学びを深めるためや自分の発展する可能性を見つけるためにできるさまざまな環境に飛び込んでみてください。

先生の学問へのきっかけ

 私はレーザーやプラズマ、加速器といった分野の研究をしています。子どもの頃からラジオや無線、電子ブロックといったエレクトロニクス分野に強い関心をもっていました。大学では理学部に入りプラズマの研究室に入りましたが、研究者となってからはテーマを広げ、ダイヤモンドを使ったスイッチや新しいレーザー開発といった幅広い分野で、世界中から注目を集める研究や発見も数多く行ってきました。また、学生たちが自由に研究しやすい環境づくりに努め、現在では研究室を巣立った数多くの学生たちが、研究・開発の分野で活躍しています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

国立研究所研究者/大学内研究者/企業内研究開発者

大学アイコン
米田 仁紀 先生がいらっしゃる
電気通信大学に関心を持ったら

 電気通信大学は、東京にある理工系国立大学で、「工学」と「理学」のうち、特に情報分野および理工分野を核とした教育研究を行っています。先端科学技術を支える全分野、例えば、情報、通信、電子、知能機械、ロボティクス、光科学、物理、量子、化学、物質、生命などの分野を網羅しています。社会で活躍する人材の育成をめざし、ものづくりに意欲を燃やす学生の期待に応える教育環境を提供します。

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