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講義No.10313

老年看護で大切なのは、生きる意欲をいかに引き出すか

老化とは何か

 人は加齢とともに身体機能が衰えます。肺や腎臓の機能は若い時の半分程度になります。病気に対する防衛力や回復力も低下するため、軽い症状でも重症化するリスクがあります。そうなると、治療が長引き、薬剤に対する副作用も出やすくなります。また、同時に多くの疾患にかかったり、病気の経過が定型的でなかったり、症状などの個人差が大きい傾向があります。さらに、社会的・心理的な不安や心配があれば、それも病気の経過に影響を与えます。

看護師に求められること

 高齢者の看護で重要なのは、病気を治して生きたいという意欲をもってもらうことです。ナイチンゲールは、看護で大切なのは「患者の生命力の消耗を最小にするように整えること」と語っています。看護師は、単に治療に必要な業務をこなすだけでなく、患者さんに対する心遣いが大切です。気温が低いときは、「今日は寒くないですか」「布団をかけましょうか」という何気ない一言が、患者さんを元気にします。不安や心配を少しでも解消する言動が、看護師に対する信頼と、病気を治す意欲につながるのです。また、病気の予防も重要です。寝たきりの患者さんは、関節が動きにくくなるので、1日に1回は可動域まで曲げ伸ばしします。筋力が落ちないように、関節を動かさずに筋肉に力を入れる等尺性運動も行います。

患者さんの日常生活の目標を実現する

 看護の目標は病気の治癒だけではありません。患者さんが目標とする日常生活の実現です。例えば、トイレは自分で行きたいという目標があれば、医療機関ではその目標に向かってチームで準備を進めていきます。
 そこで行われるのが、看護診断です。看護での課題を洗い出し、その診断をもとに計画を立て、医師、看護師、薬剤師、作業療法士、理学療法士、栄養士などが協力してそれぞれの対策を実施します。看護師はチームの中でも最も患者さんに接する時間が長いため、情報共有の起点になります。家族とも連絡を取り、治療と日常支援のつなぎ役となるのです。


この学問が向いているかも 老年看護学、看護学

福岡大学
医学部 看護学科 教授
久木原 博子 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 看護師と言えばナイチンゲールの名前が思い浮かぶかもしれません。彼女は、クリミア戦争のさなかスクタリの病院で42%だった負傷兵の死亡率を、看護の力で5%に激減させました。
 では、看護とは何でしょうか。彼女は「看護とは新鮮な空気、陽光、暖かさ、清潔さ、静かさなどを整え、食事内容を適切に与えること。これらすべてを、患者の生命力の消耗を最小にするように整えることを意味する」と言っています。その後も多くの看護理論家が看護は何かを探求し続けています。看護について学ぶことはとても面白いです。一緒に学びませんか。

先生の学問へのきっかけ

 法律では看護師の仕事は「療養所の世話と診療の補助」とされています。私は看護師をめざして学び始めた当初、患者さんの世話ならご家族のほうが上手いし、診療も補助的な役割しかないのかと残念な気持ちになりました。ところが、実際に看護師になって、それが間違いであることに気づきました。患者さんは、明らかに看護師を選別しており、信頼されない看護師はナースコールで呼ばれないのです。信頼される看護師は何が違うのだろうと考え、自分も患者さんに信頼される看護師をめざそうと思うようになりました。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

病院の看護師/県・市・町村の保健師/小・中・高等学校の養護教諭

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久木原 博子 先生がいらっしゃる
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 福岡大学は、9学部31学科、在学生2万人を有する総合大学です。多くの学生や教職員が行き交う広大なキャンパスは福岡市の南西部に位置し、都心部との交通の便もよく、活気に満ちあふれています。「ワンキャンパス」に全学部が集結しており、総合大学の魅力を生かし、学問・研究および課外活動などにおいて学部間の交流が盛んに行われ、文系・理系だけにとどまらない幅広く多様な視野と知識を得ることが可能な大学です。また、創立から80数年で輩出した卒業生総数は25万人を超え、あらゆる分野で力を発揮しています。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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