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講義No.10311

薬などを簡単な構造で大量に作る方法を探る

有機合成化学の研究者の挑戦とは

 有機合成化学とは、有機化合物の新しい合成方法を突き止める学問です。流通している薬の半数近くは、薬効のある天然素材を用いているか、天然素材の薬効成分を突き止めて工業生産できるようにしたものです。自然にあるものから有効物質を見つけ出すのは動植物などの研究者ですが、それをより簡単な構造で大量に作るための方法を探るのは有機合成化学の研究者です。成功すれば抗がん剤や抗生物質などを安定して作ることができます。さまざまな物質について「とても作ることができないようなものをあえて選んで」分子構造を解明し、簡単に作ることができる方法を生み出すことはこの分野の挑戦といえます。

海綿動物の有効成分を化学合成

 創薬の例では、ある海綿動物が自己防衛のために作り出している成分が、乳がん治療に効果があることがわかりました。生物からは少ししか採取できないので、それを化学合成することで薬として活用できるようになりました。「何をどう組み合わせるか」という化学合成の方法を突き止め、工業製品として大量生産することで、多くの乳がん患者に届けることができます。
 天然由来の薬効成分を化学合成する場合、毒性が強ければ弱めるなど、人体に適した有効成分にすることで安全に実用化できます。生体内の反応をフラスコの中で行う実験やコンピューターシミュレーションによって作ろうとするのが有機合成化学なのです。

同じ分子構造でも左手型と右手型がある

 この分野でノーベル化学賞を受賞したのが、野依良治さんです。対象となった研究テーマは「不斉触媒による水素化反応の研究」でした。左右対照的な分子の構造を「鏡像異性体」と呼び、分子の構造を左右の手に見立てます。同じ分子構造でも「右手」は有効で、「左手」は有害というケースが少なくありません。化合物を作る段階で、右手型と左手型でどう違うかを検証することは重要であり、野依さんはこれを作り分ける方法を発見したのです。


この学問が向いているかも 有機合成化学

富山県立大学
工学部 生物工学科 教授
占部 大介 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 本学は「薬の富山」だからこそ、創薬に関わる分野に恵まれた環境が用意されているのはもちろん、工学部全体にも支援は行き届いています。教育の部分ではキャリア形成が早い時期から科目に入っていて、自分の進路を決めるための情報が集まってきます。
 つまり自分に合った進路を探し、進むことを大学が支援してくれますから、早い段階から卒業後の具体的なイメージが湧きやすいです。高校または大学の間に自分の好きなことを見つけ、選ぶ姿勢を持って学び、一緒に研究していけることを願っています。

先生の学問へのきっかけ

 有機合成化学の道に入ったのは、大学2年生の時でした。有機化学の授業を担当する教員から「有機合成化学は、覚える学問でなく考える学問である」と言われて魅力を感じ、その先生の研究室に入りました。実験は、ごくたまにうまくいくけれど、ほとんどはうまくいきませんでした。自分で課題を見つけ、問題を設定しその答えを見つけていくことの繰り返しで、実験材料とフラスコとパソコンに向き合う毎日が今まで続いています。でも、全く飽きることはありません。役に立つものを作っているという充実感があるからです。

研究室
大学アイコン
占部 大介 先生がいらっしゃる
富山県立大学に関心を持ったら

 本学は、1990年の建学以来、創造力と実践力を兼ね備えた人材育成や高度な研究開発、産業界との連携による地域貢献を果たしながら、最適な教育・研究環境を整えてきました。
 昨年4月には看護学部を開設し、工学部との2学部体制へと進化を遂げるとともに、本年4月には、学科再編により「電気電子工学科」と「情報システム工学科」を新設し、あわせて新たな校舎の整備も進めています。
 工学と看護学を基盤に、柔軟で豊かな人間性を備えた人材の育成に向け「ドンドン マスマス」成長する富山県立大学で、一緒に成長しよう!

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