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講義No.10307

クジラはどうやって歌うのか?

クジラは水中で暮らす哺乳類

 クジラは今から約5000万年前に陸上から海に進出し、水中で暮らすための進化を成し遂げた哺乳類です。水の中で生きるには体の形だけでなく、塩分耐性、体温保持、呼吸などの生理メカニズムも適応させなければなりません。クジラには進化の結果として獲得した独自の特徴があり、まだ解明されていない部分がたくさんあります。

音波で情報をキャッチする

 海の中は光を通しにくく、水面下200mでは真っ暗です。そのため、イルカの仲間などが含まれるハクジラ類は自分が出す音の反響を捕えることで水中の様子を察知することができるように進化しました。ヒゲクジラ類も音を出しますが、ハクジラ類と比べると、こちらはかなり低周波です。高周波の方が解像度は高くなり、小さな魚もはっきりととらえることができますが、低周波は広い範囲を見ることができます。ひょっとするとヒゲクジラ類は音を使って上空から地面を見下ろすように、海底の起伏などを“見て”周囲の様子を知ることができるのかもしれません。

クジラが音を出す仕組み

 クジラは水中でさまざまな音を出すことは知られていますが、クジラには人間のような声帯はありません。ハクジラ類は鼻の奥にある弁のようなものを振動させて音を出しますが、ヒゲクジラ類にはハクジラ類のような器官も見当たらず、どうやって音を出しているか謎でした。最近になって、ヒゲクジラ類の喉にある袋状の器官が、どうやら音を発生させることに関わっている可能性が示されました。この器官の大きさと周りの筋肉量を詳しく調査したところ、メスより性成熟したオスの方が圧倒的に発達していることがわかりました。クジラは繁殖期にオスがよく鳴くことから、この器官が音を出していることが支持されたのです。クジラは私達と同じ哺乳類ですが、まだ知られていない多くの不思議があります。これからも、クジラの体の形から彼らの生きざまに迫っていく研究などが求められています。


この学問が向いているかも 海洋環境科学、鯨類学

東京海洋大学
海洋資源環境学部 海洋環境科学科 助教
中村 玄 先生

先生の著書
先生がめざすSDGs
メッセージ

 もし自分の進路に迷ったら、本屋さんか図書館に行ってみてはどうでしょう。どんな分野のところで足を止めたり、立ち読みしたりしているでしょうか。ひょっとするとそこが本当に自分の興味ある分野なのかもしれません。大学受験のための勉強には強いモチベーションが欠かせません。どういう大学生活を送り、その先にはどういう仕事があるのか、楽しい将来を想像することはつらい受験勉強を乗り越える大きな力になります。めざす分野が決まったら、とにかく頑張って勉強してください。大学にはあなたのやりたいことがたくさん待っています。

先生の学問へのきっかけ

 高校で南米に留学した時、ホエールウォッチングでミナミセミクジラを目の当たりにし、クジラを研究するのは面白そうだと考えたことがありました。しかし、大学受験の頃にはすっかり忘れていて、生き物が勉強できて家から通えることを条件に大学を決めたのです。3年生の秋、ちょうどクジラの研究室ができたのが縁で研究を始めました。人間と同じ体の仕組みを持ちながら、完全に海で生活しているクジラはとても不思議な存在です。一つ疑問が解けると、また次の疑問が生じてきて、クジラに対する熱意はずっと冷めません。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

研究所/水族館/博物館/高校教諭/水産庁/水産試験場/国家・地方公務員/IT産業他

研究室
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中村 玄 先生がいらっしゃる
東京海洋大学に関心を持ったら

 東京海洋大学は、全国で唯一の海洋にかかわる専門大学です。2大学の統合により新しい学問領域を広げ、海を中心とした最先端の研究を行っています。海洋の活用・保全に係る科学技術の向上に資するため、海洋を巡る理学的・工学的・農学的・社会科学的・人文科学的諸科学を教授するとともに、これらに係わる諸技術の開発に必要な基礎的・応用的教育研究を行うことを理念に掲げています。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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