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講義No.10297

聴覚障害や吃音のある人を支える「音声コミュニケーション科学」

音のメカニズム

 音は、さまざまなものが振動し、空気を伝わって伝播する波動であり、またそれを耳が感じることで生じる聴覚的な感覚を意味します。同じ音でも、聞く人によって感じ方は異なります。耳に入った音は鼓膜を振動させ、その振動を中耳にある耳小骨が増幅し、蝸牛(かぎゅう)という器官に伝えます。蝸牛が振動を電気信号に変換することで脳が音を認識するのですが、そのプロセスに問題があると、伝音性難聴や感音性難聴といった障害が起こります。こうした聴覚や発語に障害のある人たちの意思疎通を支える学問を「音声コミュニケーション科学」といいます。

環境音を聞きやすくする

 街中には、喧騒や風切り音といった「環境音」があふれていますが、聴覚障害のある人にとっては認識することが困難です。ある研究で、聴覚障害のある若者にさまざまな環境音を聞いてもらい、どの程度聞き分けられるかを調べました。すると電車がホームに入る音や学校のチャイムなどは正答率が高く、ATMの操作音やエレベーターの到着音などは正答率が下がりました。つまり、学生に身近な音ほど聞き取りやすく、そうでない音は聞き取りにくいのです。こうした実験結果を応用すれば、環境音を聴覚障害のある人にとって聞き取りやすくデザインすることもできるでしょう。

吃音の原因を可視化する

 声をうまく発することができない吃音(きつおん)は音声言語の症状のひとつです。吃音は連発(こここんにちは)、伸発(しーーーつれいします)、難発(…〈声が出ない〉)といった種類に分けられます。吃音は成長とともに軽減されるケースもありますが、約100人に1人は大人になっても残るとされています。
 脳の中には弓状束(きゅうじょうそく)という言語機能に関係する神経回路があり、脳のブローカ野とウェルニッケ野という部分と接続されています。吃音は、その接続性が低下することが原因のひとつと考えられており、近年、MRIを使ってこの接続の状態を可視化する研究も行われています。


この学問が向いているかも 音声コミュニケーション科学、音響学

筑波技術大学
産業技術学部 産業情報学科 講師
安 啓一 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 大学で何かを学ぶには、自分が興味を持ったことにのめりこむことが大切です。部活や趣味など、自分が面白いと感じていることを深く考え、何が面白いのかを突き詰めてほしいと思います。
 同時に、友人や周りの人が興味を持っていることにも関心を持ち、首を突っ込んでみることも大切です。そうすることで自分が知らなかった世界に出会えるかもしれません。このように、興味の対象を掘り下げたり、広げたりしていくことで、自分の専門分野ができていくと思います。

先生の学問へのきっかけ

 私は「音声コミュニケーション」や「聞こえ」などを専門にしています。高校時代から音楽好きで、スピーカーやアンプを自作してはより良い音で音楽を聴くことに熱中していました。大学でも理工学部に入り、音を専門に学ぶ中で、研究室で聴覚に障害のある先輩に出会ったことをきっかけに、聴覚の障害について興味を抱くようになります。国立障害者リハビリテーションセンター研究所や大学などでキャリアを磨き、聴覚に障害がある人がよりスムーズにコミュニケーションがとれる社会づくりに貢献するため、日々の研究に打ち込んでいます。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

Webサービスエンジニア/ソフトウェア開発SI・SE/音響機器メーカ技術者/博士課程進学/地方公務員

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安 啓一 先生がいらっしゃる
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