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講義No.10279

光と農学が合体、21世紀の農業を守る「アグリフォトニクス」

光を農業に役立てる

 スマートフォンやタブレット、テレビといった工業製品には、電子ディスプレイが使われています。ディスプレイの背面にはバックライトがあり、その光が液晶などでさまざまに制御されて、人間が読み取れる文字や絵になります。ディスプレイをはじめ、これまで主に工業分野に応用されてきた光の研究は、近年では農業分野にも役立てられています。栽培を効率化し、生育を早めるなど、農学分野と連携して光を農業に役立てる研究や技術を「アグリフォトニクス」といいます。地球規模で気候が変動している今、直接的な影響を受けやすい農業を守る研究として、大きな注目を集めています。

アグリフォトニクスの具体例

 寒い時期に農産物を栽培するために、ビニールハウスが用いられます。ハウス内では温度が保たれ、ビニールを透過する太陽が作物の光合成を促進します。光合成は、太陽光に含まれるさまざまな波長(色)の光のうち、青と赤の光を、植物に含まれるクロロフィルという色素が吸収することで行われます。しかし、山陰地方など、冬季に晴天が少ない地域では、太陽光が不足し光合成がうまくいかないケースがあります。太陽光自体を強めることは難しいですが、例えば、人工的に青と赤の波長の光を出す照明を取り付け、青と赤の光だけを補うことができれば、冬季の栽培効率もぐっと高めることができます。

生育を早めることも

 光は、光合成だけでなく植物の生育スピードにも密接に関係しています。草むらをよく見ると、手前にある草よりも、奥にある草の方が背丈が高いことに気付きます。これは、奥に行くほど太陽光が届きにくく光合成も難しくなるので、フィトクロムという色素が働いて、茎の成長を早めて背丈を伸ばし、太陽光をキャッチしやすくしているからです。フィトクロムは、赤と赤外の境あたりの波長の光を感じて働くことがわかっています。このメカニズムを活用すると、野菜の生育や花の開花時期を早めて、従来では難しかった時期に栽培・出荷することも可能になるでしょう。


この学問が向いているかも アグリフォトニクス、電気電子工学

鳥取大学
工学部 電気情報系学科 教授
大観 光徳 先生

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メッセージ

 私は鳥取大学の電子ディスプレイセンターで、新しいタイプの液晶ディスプレイの研究をしています。今までにないものをつくり出すには、創造的な発想が必要です。
 興味や疑問を工夫して解決するセンスは、勉強だけで身につくものではありません。子どものときに思いきり遊び、好きなことに熱中したり、大学に入った後も実際にものをつくり、評価することを繰り返したりする中で、新たな発想が生まれるのです。そのためにも、自分が知らないことや新しいことを見つけ、好奇心をもって探究する気持ちを持っておきましょう。

先生の学問へのきっかけ

 中学時代からラジオの自作や電子工作に熱中するなど、ものづくりが好きでした。また、大学時代からシンセサイザーを使って曲をプログラミングするなど、音楽好きでもあります。大学卒業後は企業で電気や電子を用いた発光技術や光についての研究・開発職につき、大学に移ったあとも同じテーマに向き合い、研究を続けてきました。近年では、地球規模の気候変動やグローバル化といった課題に直面する農業に、光という側面から貢献するべく、太陽光を有効利用した新たな栽培技術の研究に力を入れています。

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 鳥取大学は、教育研究の理念に「知と実践の融合」を掲げ、高等教育の中核としての大学の役割である、人格形成、能力開発、知識の伝授、知的生産活動、文明・文化の継承と発展等に関する学問を教育・研究し、知識のみに偏重することなく、実践できる能力をつけるように努力しています。また、研究・教育拠点、幅広い専門的職業人の養成、地域の生涯学習機会の拠点、社会貢献機能など個性輝く大学を目ざし、地方大学にこそ求められるオンリーワンの研究開発を行い、社会に貢献し、国際的競争力を確保できる大学運営を目ざしています。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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