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講義No.10265

食の安全・安心を高める「トレーサビリティ」って何?

生産者と消費者のあいだの情報の隔たり

 食品流通において、生産者と消費者の間には情報の隔たりがあります。これが大きな問題となったきっかけの1つは、わが国でのBSE(牛海綿状脳症)の発生でした。当時、牛を含む家畜の飼料に、牛や豚、鶏などの非食用部位を加工した「肉骨粉」が厳しい規制が課せられずに使われていました。BSEに感染した牛由来の肉骨粉が飼料に使われ、それを牛が食べることでBSEの感染が広がったとされ、混乱に陥りましたが、消費者は必ずしもこの事実を知りませんでした。

トレーサビリティの確保

 この問題をきっかけに、生産者の情報を開示する機運が高まりました。日本でも、食品全体で種類により細かく表示項目が決められています。特に、国産牛・牛肉と国産米に関しては、生産物の情報を詳細に開示することが義務付けられています。国産牛では、品種、雌雄の別、飼養・加工場所などです。国産米では、販売者、品種、産地、精米時期、ブレンド割合などを表示しなければなりません。生活協同組合などでは、組合員自身が産地を訪れ、生産者から家畜の飼養方法や野菜の栽培方法など多くの情報を入手し、自らの食卓に届けています。直売所では、栽培方法や収穫時期、調理方法といった情報を伝えています。このように、飼育や栽培から加工・製造・流通などの過程をたどれるよう明確にすることを「トレーサビリティ」といいます。

効率化と環境負荷の低い食品

 より詳細な情報を開示するほどコストがかかります。それを誰が負担するかということが問題です。販売業者の中には、価格は高いけれど、より詳細な情報を表示することで、差別化を図っているところもあります。このような業者が販売するのは、環境負荷の低い安全な食品です。しかし、そのような食品を求める消費者ばかりとは限りません。食品業者にとって、生産性を高めて効率化することと環境負荷の低い食品を提供することは、トレードオフの関係になっている面があります。両者の最適なバランスをいかにとるかは大きな課題です。


この学問が向いているかも 食料経済学、農業経済学、流通科学

中村学園大学
流通科学部 流通科学科 准教授
中川 隆 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 大学の4年間に何をするのかは、とても大事です。私たちが毎日行っている食生活ひとつとっても、そこにはさまざまな問題があって、それに対して研究者は多様なアプローチで研究しています。
 大学は、そんな研究者・専門家に出会える場です。たくさんの本を読み、自分なりの疑問を持って、いろいろなことを知っている専門の先生にその疑問をぶつけてほしいです。もちろん、アルバイト、サークルも楽しいと思います。しかし、研究においても楽しさを見つけて、充実した4年間を過ごしてください。

先生の学問へのきっかけ

 実家が兼業農家で、農業に関心を持っていました。大学に入る前に、先進国のように飽食の国がある一方で、難民の多い国では飢餓に苦しんでいることを知り、この問題を解決するためには農業と経済の関わりについて勉強することが必要だと考えるようになりました。そこで農学部に進学し、大学院時代にドイツに留学しました。食の安全性に関しては先進国のヨーロッパで、食の安全性を追求するとコストがかかる、つまり食の安全性とコストはトレードオフであることを学び、同じ課題を抱える日本でこの2つを両立させる制度の研究をしています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

食品会社営業/自動車販売会社営業/ホテル営業/銀行営業/保険会社営業/食肉会社事務など

大学アイコン
中川 隆 先生がいらっしゃる
中村学園大学に関心を持ったら

 中村学園大学・中村学園大学短期大学部は「栄養系(栄養科学/フード・マネジメント/食物栄養)」「教育系(教育/幼児保育)」「企業系(流通科学/キャリア開発)」の3系統有する男女共学の学校です。栄養系は全国トップレベルの管理栄養士国家試験合格者数や食のスペシャリストの育成、教育系は小学校教員採用試験の高い現役合格率、企業系は実践的教育に加え高い就職率など、実学志向で学生満足度の高い教育を実施。無料の個別学習指導(ラーニングサポートセンター)や学内アルバイト(スチューデントジョブ制度)も特徴です。

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