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講義No.10254

記憶に残る風景をつくる~過去と未来をつないできた建築の役割~

風景と建築

 あなたの記憶に残る風景はどんな風景ですか? 人気の観光スポットや自然がつくる絶景などは、一般的な意味で記憶に残りやすいといえますが、そこに「あなたの」がつくと、答えは違ってくるはずです。自宅の食卓に差し込む日差しや、街中にあった白くて大きな教会、毎日見ていた山など、さまざまな風景があり、そこにいる自分もまた風景をつくる一つの要素といえます。建築や街をデザインするということは、便利さや見た目の美しさ、にぎわいといった機能をつくるだけでなく、そこに暮らす人や訪れる人の記憶に残る風景をつくるということでもあるのです。

風景の見え方が変わる

 人の記憶と密接に関係する風景は、過去形で語られやすいものです。一方、ギリシャの神殿やピラミッド、法隆寺が造られたはるか昔から、建物を造るということは、まだそこに現れていないもの=未来をつくる行為であったともいえます。多くの予算と資材、労力を使ってつくられた未来が、やがてそこを訪れる人、住む人の記憶をつくっていきます。「風景と記憶」という視点で自分の地元や、旅行先の街を見てみると、思いもよらない発見ができるはずです。

人々の記憶が街の価値を掘り起こす

 風景の記憶は、街や建物の価値にも密接に関係しています。例えば、多くのオフィスや官公庁が立ち並ぶ街を、Instagramのような写真投稿型SNSで検索してみると、ステレオタイプな街のイメージとは異なる写真が投稿されていることがわかります。古びた路地や若者向けのカフェ、子どもたちが遊ぶ公園など、人それぞれの価値観によって街の風景が切り取られており、その街をつくった人や、そこにある建物をデザインした人たちが思いもしなかった風景もたくさんあるはずです。投稿する人たちが無意識に行っているこうした行為によって、街の隠れた魅力や価値がどんどん掘り起こされています。こうした魅力や価値をいかに取り込んでいくかが、今後の建築デザインにとっても大切な意味を持っています。


この学問が向いているかも 建築学

神戸大学
工学部 建築学科 准教授
槻橋 修 先生

メッセージ

 何かを考える時、「自由に考える」ということが大切です。しかし、自由に考えるということは、とても難しいことでもあります。なぜなら自分の自由というものは、誰かに与えられるものではなく、自分で発明していくものだからです。
 自分が今いる環境の中で、自分なりの自由を見つけて、育てていくことが、自由の発明につながります。大学というのはそのスタートラインです。ぜひ大学で自由を見つけて育ててください。

先生の学問へのきっかけ

 子どもの頃からものづくりが好きで、当時流行していたアニメのロボットを、お菓子の空き箱でつくったりしていました。体の関節の動きを再現するなど、当時から立体構造へのこだわりを持っており、大学は建築学科に進みました。卒業後、大学院などを経て、設計事務所で建築デザインの実務に長く携わり、現在は大学で研究と教育活動にも取り組んでいます。学生たちと一緒に商店街や震災で津波の被害にあった地域を訪れるなど、実践と研究の両方の観点から、建築デザインや設計、街づくりに関わり続けています。

大学アイコン
槻橋 修 先生がいらっしゃる
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 神戸大学は、国際都市神戸のもつ開放的な環境の中にあって、人間性・創造性・国際性・専門性を高める教育を行っています。
 また、神戸大学では、人文・人間系、社会系、自然系、生命・医学系のいずれの学術分野においても世界トップレベルの学術研究を推進すると共に、世界に開かれた国際都市神戸に立地する大学として、 国際的で先端的な研究・教育の拠点になることを目指します。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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