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講義No.10250

知覚、動き、体験を自由自在にコントロールする空間デザインとは

止まって見る景色と、歩いて見る景色の違い

 私たちは大抵、景色を立ち止まって眺めます。しかし、日本庭園は「歩きながら見る」ことを前提にしていると考えられる造りになっています。この「運動をともなう景観」を「シークエンス」と呼びます。
 さらに、私たちは自分の意志で景色を眺めていると考えますが、環境そのものが、人の視線や意識を誘導している可能性があります。例えば広島県にある厳島神社で、参拝者にアイマークレコーダーという視線の方向などを測定できる機械を装着してもらいます。すると真正面の一番奥を最初に見てから、一様に左右へリズミカルに視線を送ることがわかりました。ほぼ全員が特定の場所で立ち止まり、特定の方向を見ているのです。つまり、デザインした作者の意図通りに、人々が動いているのだと考えられます。これを「アフォーダンス」と呼びます。

建築デザインに込められた意図

 平安時代に建てられた奈良の室生寺は、境内を歩くと徐々に金堂が見えてくるよう配置されています。これは現在でも大型のショッピングモールなどで見られ、すべてのルートをなだらかな曲線で造ることで来場客の期待を高めます。
 対照的に法隆寺は、中門を入った途端いきなり金堂と五重塔の全貌が明らかになります。これはデザインの意図の違いによるもので、どちらも「どう見せたいか」というコントロールの下に設計されているのが明らかです。

体験そのものを大切にする建築

 ただ、現代の建築は視覚ばかりが重視されているきらいがあります。例えば中世に始まった日本の茶室では、建物の見た目よりも、周囲の鳥のさえずりや葉擦れの音、刻々と変化する日差しなどをいかに取り込むかが重視されてきました。つまりひとつの知覚ではなく、体全体で感じ取るような体験、いわば共感覚体験が大切にされてきたと考えられます。これらの多くが、建築の西洋化とともに忘れられてきました。しかし、もう一度この概念を見つめ直すことで、私たちは古くて新しい空間デザインを実現できるかもしれないのです。


この学問が向いているかも 建築意匠学、建築歴史学

大阪工業大学
ロボティクス&デザイン工学部 空間デザイン学科 准教授
妻木 宣嗣 先生

メッセージ

 あなたは、進路について悩んでいるかもしれませんね。私がうっすら自分の進みたい道が見えてきたのは高校2年生の終わり頃でした。道が見えない間は、いろいろな物事に触れてみるとよいでしょう。だんだん、何かが見えてくると思います。焦る必要はないですが、何もしないわけにもいきません。
 いろいろな機会を積極的に利用しながら考え続けることが大事です。私が研究しているデザインの面白さは、世の中のあらゆるものがデザインされているという事実そのものにあります。あなたにもデザインの面白さを知ってもらえるとうれしいです。

先生の学問へのきっかけ

 設計事務所を経営していた父の影響で、建築やインテリアに興味を持ったことから、大学では建築学科を選びました。そして大学1年生のとき、テレビの取材を受けた父に誘われて同行し、鳥取県にある三佛寺投入堂という絶壁のくぼみに建てられたお堂を目にしました。次に見たのは兵庫県の浄土寺浄土堂で、こちらは構造材ばかりで化粧材のない、一切の過不足がない空間で、どちらも他に類のない独自の建築でした。
 ここから日本の伝統建築の魅力と面白さに目覚め、デザインの不思議に迫りたいと現在の研究の道に進むことになりました。

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妻木 宣嗣 先生がいらっしゃる
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 大阪工業大学は、工学部・ロボティクス&デザイン工学部・情報科学部・知的財産学部の4学部17学科構成で、「人のために役立つものづくり」を追究しています。本学学生たちの学びの原動力は「社会を思う優しい気持ち」や「積極的に学問・技術を探究する情熱」。そのため、特色ある実験・演習やグローバル人材育成をめざした語学教育など、多彩な教育プログラムを展開しています。そんな「質を保証する教育」が高い就職実績につながっています。

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