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講義No.10241

環境問題を生み出す「人間」について考える環境哲学とは?

環境問題から「人間とは何か」を考える

 地球温暖化による気候変動など、世界各地でさまざまな環境破壊が問題視されています。そしてそうした問題を引き起こしているのは、確かに私たち人間です。しかしそもそも人間とは、どのような存在なのでしょうか。そしてなぜ人間は、環境問題を引き起こすのでしょうか。環境問題や持続可能性(サスティナビリティ)の問題から出発しつつ、その背景を「人間とは何か」という哲学的な問いにまで遡って考える学問、それが「環境哲学」です。

自然環境と人工環境のズレが環境問題の根本

 人間がほかの生物と根本的に異なるのは、人間が自然環境のうえに人工的な環境をつくりだす能力を持っていることです。最初の石器が誕生してから今日のロボットやAI(人工知能)に至るまで、人間がつくりだした人工環境は数100万年のときをこえて次世代に受け継がれ、しかも膨張を繰り返してきました。しかし例えば1万年ほど前に農耕が成立し、200年ほど前に化石燃料に支えられた社会が成立するなかで、いつしか人工環境は自然環境との間にズレを生じさせてしまいます。私たちが環境問題と呼んでいるものの背景には、実はこのふたつの環境の間にあるズレが深くかかわっているのです。

正解のない問いに、意味を見いだす

 環境問題の解決に向けて努力をすることは、ときとして無意味なように思えるかもしれません。実際、人間の歴史を振り返ってみると、人間の予想は常に外れていて、裏切りの連続だったからです。もしかすると、21世紀の私たちが行ったことがまったく無駄な努力に終わってしまう可能性だって本当にあるのです。しかし大事なことは、この世界のほとんどの問題は「正解がない」ということを受け入れたうえで、そのとき大事だと考えたことに対して精一杯向きあうことだと言えます。私たちが過去の時代に精一杯生きた人々を尊敬できるように、たとえそれが間違っていたとしても、私たちが精一杯生きたという事実そのものが、未来に生きる人々を勇気づけることになるからです。


この学問が向いているかも 環境哲学

大阪府立大学
現代システム科学部 環境システム学科 准教授
上柿 崇英 先生

メッセージ

 私の専門分野は環境哲学です。環境という分野は理系的な学問だ、というのが一般的だと思いますが、そういう分野をあえて哲学でやるという、少し変わったことをしています。哲学という学問は、文系の中でもとりわけ文系的な分野です。ですから、環境哲学は理系と文系が組み合わさった学問、ということになります。
 この文理融合に興味がある、あるいは環境と人間の関係性、人間の文明社会や科学技術、さらにはもっと根本的に人間とはそもそも何だろうか、そういうことに興味・関心のあるあなたを待っています。

先生の学問へのきっかけ

 環境問題に関心があり、農学部で学んでいましたが、次第に人間や社会、歴史に興味を持つようになりました。文系の学問は、確かな答えがなかなか見つからない問題に対して、しっかり向き合おうとするものですが、よく考えてみれば、人生の選択においても、どちらが正しいのか、ちゃんとした正解が得られないことの方が多いのです。そうした正解のない問題に対して、こういう意味があるのではないか、と問いかけることこそ自分の学問であるという考えにたどり着き、理系と文系が混じった「環境哲学」という学問を志すようになりました。

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上柿 崇英 先生がいらっしゃる
大阪府立大学に関心を持ったら

 公立大学法人大阪府立大学は、2005年、大阪府立大学・大阪女子大学・大阪府立看護大学の3大学が統合してスタートしました。
 そして2012年、公立大学法人大阪府立大学は「国際・多様・融合」をキーワードに、7学部28学科から4学域13学類体制にカリキュラムを再整備しました。加えて、大学院7研究科も19専攻から21専攻へと、研究分野をより充実させます。
 広大な敷地と最新の設備を整え、恵まれた教育・研究環境を学生の皆さんに提供し、高度研究型の総合大学として人材育成に努めています。

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