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九州工業大学 工学部の教員による講義

関心ワード
  • 元素、
  • ナノ、
  • 結晶、
  • 機能性材料、
  • 物性、
  • 磁石、
  • 電子、
  • 物質、
  • 電子顕微鏡

物質をナノスケールで見ると「物性」がわかる

物性を決定するのは何か

 物質には、さまざまな性質があります。その性質を「物性」といいます。物性は物質を構成する元素と結晶構造、そして結晶の並び方で決まります。元素を置き換えたり、結晶構造を変えたり、結晶の並びをコントロールすることで、全く新しい物質の開発が可能になります。ただ、結晶の並びの大きさは、マイクロスケールからナノスケール以下です。1ナノメートルは10⁻⁹メートルなので、もちろん肉眼では見えません。しかし、電子顕微鏡を使えば原子を見ることが可能です。また、原子を構成している元素が何かもわかります。

磁石の磁性がなくならないようにするには

 例えば、磁石の場合、磁性があるかどうかは構成する元素で決まります。理科の実験でよく使われるアルニコ磁石は、アルミ、ニッケル、コバルトの合金です。この磁石は、時間が経過すると磁力がなくなってしまいます。これは磁性がなくなるわけではなく、内部にNSを単位とする極小の磁石(磁区といいます)が複数あって、その向きが変化することで磁力を打ち消してしまうのです。理由はそのほうが安定しているからですが、これを防ぐ方法があります。結晶の並びを阻害する格子欠陥という要素や不純物などを入れてやると、磁区が動けなくなって減磁することなく強い磁性を維持するようになるのです。
 このように既存の物質から、性質を変えた新しい物質を開発することも可能です。結晶構造の変化は、電子の振る舞いを変えることもできます。結晶はイオンですが、結晶に歪みを与えると電子の動きやすさが変わり、それが物性を変化させるのです。

物性が不明の物質はたくさんある

 さまざまな性質をもち、電子部品などに応用可能な物質を「機能性材料」と呼んでいます。実は、世の中の物質には、まだ物性が解明されていないものが多数あります。一方で、新しい化合物も次々と開発されていて、その物性の解明が待たれています。このような物質から役立つ物性が見つかれば、機能性材料として新しい製品や市場を作ることにつながります。

この学問が向いているかも 物質科学、マテリアル工学


工学部 マテリアル工学科 教授
堀部 陽一 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 私たちの身のまわりにある製品にはいろいろな材料が使われています。このような材料の研究・開発を行うのが、「マテリアル工学」です。この分野は最新テクノロジーの根幹を支えるもので、新しい物質を合成したり、材料の性質を分析したりしています。
 ところが研究となると、やってみないとわからないことがたくさんあります。しかも、どうやるかは自分で考える必要があります。自分で考えて、まず積極的に行動してみるという人なら、楽しい研究ができると思います。ぜひ、一緒に研究しましょう。

先生の学問へのきっかけ

 小学校の理科の授業で硫酸銅の結晶を見る機会がありました。青く美しい結晶を見て、何でこんなものができるのだろうと思いました。中学生のときは、「高温超伝導ブーム」でした。浮いている物体を見て、何でこんなことが起こるのか疑問に思いました。このような経験から、物質の秘密を明らかにしたいと思い、研究者になりました。今は強相関物質と呼ばれる材料を研究しています。これは、高温超伝導の仲間のような物質です。超伝導は、例えば電線の抵抗をゼロにする夢の技術です。エネルギーロスがなくなり、生活が大きく変わるでしょう。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

素材メーカー/化学分析センター/機械メーカー

研究室

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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